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ビジネスフォンの導入を検討する際、多くの企業では「総額はいくらかかるのか」、「購入とリースのどちらが得か」といった費用面への不安を抱きがちです。特にはじめて導入する場合は電話機の価格や設置工事、毎月の運用コストなどみえにくい費用が多く判断に迷うこともあるでしょう。
そこで今回は導入方法ごとの価格相場や会社規模に応じたおすすめプランに加え、コスト削減の実践策についても詳しく紹介します。導入判断の参考として、ぜひお役立てください。
ビジネスフォン導入にかかる主な費用とは?
ビジネスフォンを導入する際には電話機や主装置の購入費用だけでなく、設置工事費や月額の通信費など複数のコストが発生します。導入形態によって必要な初期費用やランニングコストは大きく異なるため、あらかじめ費用の内訳を把握しておくことが大切です。ここでは、ビジネスフォンの導入に必要な主要費用項目について解説します。
電話機の価格
ビジネスフォンの電話機本体の価格は導入方法や搭載機能、台数によって大きく変動します。新品の場合、1台あたりの相場は1万5,000円〜5万円程度であり、多機能モデルやデザイン性の高い機種は比較的高額になる傾向です。一方で中古品であれば4,000円〜1万2,000円程度で導入できるため、初期費用を抑えたい企業には魅力的な選択肢といえるでしょう。
また、リース契約を活用すれば初期投資をかけずに新品機器を導入でき、月額3,000円〜1万2,000円ほどで利用可能です。さらに、短期間の利用を想定する場合には、1台あたり月額1,500円〜4,000円のレンタル契約も有効です。導入形態ごとにコスト構成やメリットが異なるため、予算や運用期間に応じて最適な方法を選びましょう。
主装置の価格
ビジネスフォンにおける主装置(PBX)は、内線通話や外線の制御を一元管理する中枢機器です。その価格は企業の規模や接続する電話機の台数によって変わります。新品の相場は20万〜100万円程度、中古の場合は5万〜50万円ほどが目安です。
主装置にはSクラス(10台程度)からLクラス(80台以上)までの種類があり、設置台数に応じた機種を選ぶことが重要です。転送や録音などの機能が搭載された高機能モデルも存在し、そのようなモデルを選ぶ場合はコストが上がる傾向にあります。導入費用を抑えたい場合には、中古品やクラウドPBXの利用もおすすめです。業務規模や将来的な拡張計画を見据えながら、最適な主装置も選定しましょう。
工事費・配線費などの初期費用
ビジネスフォンの導入に際しては、電話機や主装置とは別に設置や配線に関する初期費用も必要になります。主な内訳は機器の搬入・設置費、主装置の設定費、そして配線工事費などです。相場としては1台あたり1万〜2万円程度が一般的となります。
ただし、配線の長さやオフィスの構造、設定作業の複雑さによって費用に幅が出る可能性があります。特に、設置スペースが広く電話機の台数が多い場合は、工事費全体で数十万円にのぼるケースもあるでしょう。加えて、業者によっては出張費や追加の設定料金が別途発生することもあるため、事前に見積もりを取得し、複数社で比較することが欠かせません。
月額費用
ビジネスフォンの運用には導入時の初期費用だけでなく、継続的なランニングコストも発生します。アナログ回線やISDN回線を使用する場合、1回線あたりの料金は月に数千円程度が相場です。加えて、クラウドPBXを利用すると1ユーザーあたり月額1,000〜3,000円前後のサービス利用料が必要になります。
さらに、保守契約を結ぶ場合には月額3,000〜6,000円程度の費用が加算されることもあります。リース契約を選ぶと、機器の使用料と保守費用を含めて、月額3,000〜1万2,000円前後となるのが一般的です。契約年数や機器の性能によりコストは変動しますが、導入形態ごとの総額を把握したうえで比較検討することが、納得のいく選定につながるでしょう。
導入方法ごとのビジネスフォンの価格相場
ビジネスフォンの導入費用は、購入・リース・レンタルといった導入方法によっても異なります。初期費用を抑えたいのか、長期的な運用を見据えるのかといった目的に応じて最適な選択肢は変わります。ここでは、それぞれの契約形態における価格相場の目安と特徴を紹介します。
ビジネスフォンを新品で購入のする場合の価格相場
新品のビジネスフォンを購入する場合、電話機1台あたりの価格はおおよそ1万5,000円〜5万円が目安となります。特に多機能モデルやデザイン性に優れた機種では価格が上昇する傾向があります。なかでも、転送機能や自動応答機能を備えたタイプはより高額になることも少なくありません。
また、内線通話や外線管理を一括で制御する主装置(PBX)は、規模や接続台数に応じて20万円〜100万円を超える場合もあります。ただし、新品を導入する際には初期費用がかかりますが、メーカーの保証が付属しているほか長期的な安心感や最新の機能を享受できる点がメリットです。費用面では割高になりますが、通信環境を安定させたい企業や、将来的な拡張を見据えて設備投資を行いたい企業にとっては、有力な選択肢となるでしょう。
ビジネスフォンを中古で購入のする場合の価格相場
中古のビジネスフォンを導入する方法は、初期費用を抑えたい企業にとっておすすめの方法です。電話機は1台あたり4,000円〜1万2,000円、主装置(PBX)は5万〜50万円程度が相場とされており、新品と比べて約3分の1〜半額以下で導入できる場合もあります。
ただし価格は機器の年式や状態に左右されるため、信頼できる販売店からクリーニング済みかつ動作確認済みの製品を選定することが重要です。なかには保証が付かない商品もあるため、導入後のサポート体制についても事前に確認しておきましょう。
なお導入する機種にもよりますが、基本的な機能(内線・転送など)については新品とほぼ変わりません。なお、導入規模や利用期間に応じて、リースやクラウドPBXとの比較もあわせて行うことで、より適切な導入判断につながるでしょう。
ビジネスフォンをリース契約をする場合の価格相場
リース契約によるビジネスフォンの導入方法は、初期費用を抑えつつ新品機器を使用したい企業におすすめです。一般的な相場は、電話機3〜10台の導入で月額3,000円〜1万2,000円前後となっており、主装置や設置工事、保守サービスが含まれている場合がほとんどです。
契約期間は5〜7年が主流で、期間が長いほど月額料金が安くなる傾向があります。たとえば電話機4台のリースを7年契約にした場合、月額は約5,000円、総額でおよそ35万円となります。ただし、契約期間中の中途解約が認められていないケースもあるため契約前に期間や支払総額、買取可否などの対応について十分に確認しておくことが重要です。
リース契約は購入に比べて総費用はやや高くなるものの、経費処理のしやすさや税務上の利点があり、資金繰りに柔軟性を求める中小企業では広く活用されています。
ビジネスフォンをレンタル契約する場合の価格相場
ビジネスフォンのレンタル契約は、短期間の利用や一時的な台数増加を想定する企業にとって、有効な導入手段といえます。電話機1台あたりの月額料金はおおよそ1,500円〜4,000円が相場で、契約期間が長くなるほど、また導入台数が多いほど、1台あたりのコストは抑えられる傾向にあります。 例えば、10台パックを3カ月契約した場合の費用は約3万円、6カ月なら約4万円、1年契約ではおよそ5万円が目安です。リース契約に比べて柔軟性が高く、2年以内の短期運用であれば、トータルコストの削減につながる可能性もあります。
ただし、設置にかかる工事費は別途発生するため、初期費用の抑制を目的とする場合には注意が必要です。特に、急な増設対応やプロジェクトごとに電話環境を整備したいケースでは、レンタルの活用が現実的かつ効率的な選択となるでしょう。
会社規模別にみる費用相場とおすすめ導入形態
ビジネスフォンの導入コストは、会社の規模によっても異なります。必要な電話機の台数や求める機能の違いにより、選ぶべき機器構成や契約形態も変わってきます。ここでは小規模オフィスから大企業、さらにはコールセンターなど電話業務が多い企業まで、それぞれに適した費用の目安と導入方法をご紹介します。
小規模オフィスの場合
従業員が10名未満の小規模オフィスでは、電話機は5〜10台程度の導入が一般的です。コストを抑えながらも基本的な機能を備えたシステム構成が求められます。
導入費用は新品の場合でおおよそ60万〜100万円が目安です。一方、中古機器を活用すれば、18万〜30万円前後まで抑えることも可能です。コスト重視の場合は、保証付きの中古機器や、短期利用に適したレンタル契約の活用が現実的な選択肢となるでしょう。
近年では、主装置が不要で設置工事も簡素なクラウドPBXの導入も進んでおり、初期費用ゼロでスタートできるケースもあります。
中小企業の場合
中小企業(従業員10〜30名程度)では、電話機の導入台数が10〜30台規模になるケースが一般的です。内線通話や転送機能に加え、部門間の連携を強化するシステム構成が求められます。
新品で導入する場合、主装置と電話機を含めた総額は約80万〜170万円が相場です。一方で、中古機器を活用すれば40万〜100万円前後まで費用を抑えることも可能です。
将来的な事業拡大も視野に入れ、拡張性やサポート体制も含めて導入方法を検討することが大切です。
大規模オフィスの場合
大企業や全国に拠点を持つ企業では、80台以上の電話機や高機能な主装置の導入が求められます。新品での導入費用は約350万〜700万円、中古機器を活用した場合でも150万〜400万円が相場です。
拠点間の内線通話や代表番号での一括着信、CTI連携、通話録音など、高度な機能を備えたシステム構成が必須となります。あわせて、信頼性やセキュリティの確保も重要な要素です。
さらに、災害時の事業継続を見据えた冗長構成や、クラウドPBXの活用も効果的です。導入にあたっては、自社の業務フローや将来的な拡張性を踏まえ、複数業者から見積もりを取り、最適な契約形態とサポート体制を選ぶことが重要となります。
コールセンターや営業スタッフが多い企業の場合
コールセンターや営業スタッフが多い企業では、通話量の多さと業務効率の両立を図るため高機能なビジネスフォンの導入が求められます。通話録音や通話モニタリング、リモートコールバックといった機能は欠かせません。スタッフが100名規模となる場合、新品導入費用はおおよそ400万〜700万円が相場とされています。
このような環境では、主装置と多数の電話機を一元的に管理できるPBX構成も不可欠です。万が一のトラブルに備える意味でも、新品機器の導入と手厚い保守契約を併用することが推奨されます。
また、クラウドPBXを活用すれば、拠点間の連携や在宅勤務にも柔軟に対応できるため、コスト面と運用面の両方で優れた選択肢といえるでしょう。
ビジネスフォンの導入コストを安く抑えるポイント
ビジネスフォンの導入にかかる費用は、選ぶ機種や契約形態によっても変動します。初期費用や月額料金を抑えるには、事前の情報収集と比較検討が欠かせません。ここでは、クラウドPBXの活用や中古機器の導入、見積もり依頼時の工夫など導入コストを抑えるための実践的なポイントを紹介します。
クラウドPBXを活用する
クラウドPBXは物理的な主装置や配線工事を必要としないため、初期費用を削減できる新しいタイプの電話システムです。インターネットを通じて利用する仕組みであり、複数拠点やテレワーク環境にも柔軟に対応できます。従来型のPBXと比較して、通信コストを抑えやすい点も大きなメリットです。
導入コストは、1ユーザーあたり月額1,000〜3,000円程度が相場となっており、保守や拡張にかかる追加費用も比較的少なく済みます。特に、小規模から中規模の企業では、主装置の購入や工事費に数十万〜百万円単位の出費を伴う従来方式と比べ、ランニングコストを含めた全体的な費用負担を軽減しやすいでしょう。
利便性と経済性を兼ね備えたクラウドPBXは、ビジネスフォンの導入がはじめてという企業にとってもおすすめです。
中古・型落ち機種を活用する
ビジネスフォンの導入コストを抑える手段として、中古品や型落ちモデルの活用も効果的です。新品の電話機は1台あたり1万5,000円〜5万円程度かかりますが、中古品であれば4,000円〜1万2,000円前後で導入できる場合があります。主装置も同様に中古であれば5万〜50万円程度で購入可能なため、全体の初期費用を半額以下に抑えられるケースもあります。
近年のビジネスフォンは耐久性に優れており、内線通話や転送といった基本機能については、型落ちモデルでも十分に対応できます。ただし、保証の有無や機器の状態には注意が必要です。信頼できる販売店からクリーニング済みかつ動作確認済みの商品を選定することが望ましいでしょう。
コストパフォーマンスを重視する中小企業にとっては柔軟な機器選定とあわせて、中古品の活用が現実的な導入策となります。
複数業者への見積もりを以来する
ビジネスフォンの導入コストを適切に把握するには、複数の業者から見積もりを取得することが重要です。機器構成や提供サービス、保守内容、工事費などは業者ごとに異なるため、比較を行うことでコストパフォーマンスの高い導入プランがみえてきます。
特に、はじめて導入を検討する企業においては、最低でも3社以上から見積もりを取り、価格だけでなくアフターサポートや保証の有無まで確認しておくことがポイントです。見積もりの競争効果により、同じ仕様でも数万円〜数十万円の差が生じることもあり、結果として20〜30%のコスト削減につながる可能性もあります。
導入形態の検討や費用対効果の可視化を進めるうえでも、見積もり依頼はできるだけ早期に行い、納得のいく選定を行うことが大切です。
ビジネスフォンの導入とあわせて電話回線も契約する
ビジネスフォンを導入する際には、電話機や主装置とあわせて電話回線の契約も同時に検討することが重要です。特に、新規オフィスの開設や移転に伴う導入では、回線と機器をまとめて手配することで、設定作業の負担を軽減できるうえ、初期費用を抑えられる場合があります。
多くの販売代理店は電話回線業者と提携しており、ビジネスフォンの購入やリース契約とあわせて回線契約を行うことで、工事費や月額料金に割引キャンペーンが適用されることも少なくありません。さらに、ひかり電話やIP電話のようにコスト効率の高いプランを選択することで、ランニングコストの最適化にもつながります。
会社のお規模や用途にあわせて選ぶ
ビジネスフォンを導入する際は、会社の規模や業務内容に応じたシステムの選定が欠かせません。たとえば少人数のオフィスであれば、基本機能を備えた中古機器やクラウドPBXの活用により、初期費用を大幅に抑えることが可能です。
一方、部門間での通話や外部とのやり取りが頻繁な中小企業では、内線や転送機能を充実させた構成が求められます。さらに、複数拠点を展開する大企業やコールセンターでは、録音機能やCTI連携を備えた高機能モデルが必要になるケースもみられます。
こうした状況を踏まえずに用途に合わない機種を導入してしまうと、過剰なスペックにより無駄なコストが発生しかねません。導入前には業務内容を丁寧に見直し、必要な機能を明確にしたうえで、自社に適した導入形態を検討することが重要です。
失敗しないビジネスフォン選びのための注意点
ビジネスフォンの導入では、価格や機能だけでなく、契約内容やサポート体制にも注意が必要です。特にはじめての導入やリプレースでは、情報不足による失敗が起こりやすい傾向にあります。ここでは、後悔のない選定を行うために押さえておきたい3つのポイントを解説します。
必要な機能と台数を明確にする
ビジネスフォンの導入を成功させるには、まず自社にとって本当に必要な機能と台数を明確にすることが重要です。内線通話や転送、通話録音、IVRなど、求められる機能は業種や業務内容によって異なります。必要以上に多機能な機器を選ぶとコストが膨らみ、逆に必要な機能が不足すれば業務に支障をきたす恐れがあるため注意が必要です。
また、電話機の台数についても、現在の業務フローや将来的な人員増加を考慮しながら決める必要があります。
このように、導入前に要件を整理しておけば、業者への見積もり依頼や比較もスムーズに進めやすくなります。
サポート体制と保障内容の確認をする
ビジネスフォンを導入する際には、機器の価格や機能だけでなく導入後のサポート体制や保証内容についても必ず確認しておく必要があります。万が一の故障時に迅速な対応が受けられなければ、業務全体に支障をきたす恐れがあるためです。
特に中古品やリース契約では、メーカー保証の有無や保守契約の範囲が業者によって異なることから、事前の確認が欠かせません。たとえば24時間対応の有無や代替機の提供、修理対応までの所要時間など、細かなサービス内容を比較しておくことでトラブルが発生した際にも安心です。
信頼性のある業者を選定し、長期的な視点で安定した運用体制を整えておくことが、導入後に発生するコストやリスクを最小限に抑えるうえで重要となります。
契約形態の違いと注意点を理解しておく
ビジネスフォンを導入する際には、「購入」、「リース」、「レンタル」といった複数の契約形態から選択する必要があります。それぞれにメリットと注意点があるため、導入目的に応じた適切な判断が求められます。
新品購入は初期費用が高額になりがちですが、長期利用や資産計上に適しており、ランニングコストを抑えたい企業にとっておすすめです。リース契約は、初期費用を抑えながら最新機器を導入できる点が魅力である一方、契約期間中に解約や機器変更ができず、結果として総費用が高くなる傾向もみられます。
レンタルは短期運用や一時的な増設に向いていますが、長期的には割高になる場合があります。このように、契約形態によって費用発生のタイミングや契約上の制約が異なるため、自社の予算・利用期間・柔軟性に応じて選定することが、導入後の失敗を防ぐ重要なポイントとなるでしょう。
価格相場を把握したうえでビジネスフォンの導入をしよう
ビジネスフォンの導入には機器代や設置工事費、月額費用などさまざまなコストが発生します。また、新品・中古・リース・レンタルといった導入形態の違いにより、初期費用や運用コストにも大きな差が生じる点には注意が必要です。
自社に適した方法を選ぶためには、会社の規模や使用目的に応じて、必要な機能と台数をあらかじめ明確にしておくことが欠かせません。さらに、複数の業者から見積もりを取り、費用やサービス内容を比較することが重要です。
近年では、クラウドPBXのように拡張性が高く、コスト面でも柔軟に対応できる選択肢が増えています。最適なビジネスフォン環境を整えるためにも、情報を整理しながら、慎重に導入形態を検討しましょう。