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ビジネスフォンの導入を検討する際、「どの種類を選べばよいかわからない」、「費用や運用方法の違いが気になる」と悩む担当者も多いのではないでしょうか。近年はテレワークや多拠点展開の増加により従来のレガシーPBXに加え、IP-PBXやクラウドPBXといった選択肢が広がっています。それぞれのシステムには特性や費用構造の違いがあり、自社に合ったタイプを選ぶことで業務効率や通信コストに大きな差が生まれます。
そこで今回は、各ビジネスフォンの特徴や費用の目安、選定時のポイントをわかりやすく解説します。
ビジネスフォンの基本構造と回線の種類
ビジネスフォンを導入する際には本体となる電話機だけでなく、その通信を支える構造や回線の種類を理解することが重要です。効率的な通話環境を整えるためには主装置(PBX)の仕組みと、利用する回線の特性を押さえておく必要があります。ここでは、まず主装置の役割から見ていきましょう。
ビジネスフォンの仕組みと主装置(PBX)とは?
ビジネスフォンは外線と内線の通話を一元管理する電話システムです。その中核となるのが「主装置(PBX)」と呼ばれる装置です。
PBX(Private Branch Exchange)は、内線番号の割り当てや転送、保留、外線の制御などを担い、社内外の通話を効率よく管理できます。主装置には、社内に設置する「オンプレミス型」と、インターネットを介して利用する「クラウドPBX型」があります。
オンプレミス型は安定性とカスタマイズ性に優れており、大規模なオフィスに適しています。一方、クラウド型は物理的な装置を必要とせず、初期費用を抑えつつ柔軟に導入できるのが特長です。
電話回線の種類
ビジネスフォンの運用において、どの電話回線を選ぶかは通信品質やコスト、将来的な拡張性に直結する重要なポイントです。ここでは代表的な3種類の回線「アナログ回線」、「ISDN回線」、「光回線」について、それぞれの特徴と導入時の注意点を詳しく解説します。
アナログ回線
アナログ回線は昔ながらの銅線を使用する電話回線であり、1回線につき1通話のみが可能という特徴があります。現在では主流の通信手段ではないものの、停電時にも一部の機器が作動することから災害対策や緊急時の連絡手段として活用される場面があります。 ビジネスフォンにおいてはレガシーPBXとの相性が良く構成がシンプルなため、導入コストを抑えやすいのがメリットです。ただし、ISDNやIP回線と比べて通信機能が限られており拡張性や柔軟性には乏しいため、将来的な運用には適さないケースもあります。
そのためBCP対策として補完的に導入するか、コストを最小限に抑えたい企業が限定的に利用するのに向いています。導入にあたっては、運用目的と他の回線との組み合わせを考慮し、慎重に選定することが大切です。
ISDN回線
ISDN回線はデジタル信号を用いた通信方式で、1本の回線で2通話が同時に可能という利便性からかつて多くの企業で導入されてきました。アナログ回線に比べて音声品質が高く、ビジネスフォンとの親和性にも優れています。
しかし、2024年以降はサービスが段階的に終了する予定となっており、既存の利用者はIP回線などへの移行を早急に検討する必要があります。特に、ISDNを現在も利用している企業では、回線切替時のトラブルを避けるための事前準備や、通信環境の見直しが急がれます。
今後の安定した運用を見据えるなら、レガシーPBXからIP-PBXやクラウドPBXへの移行が有力な選択肢です。ISDNの特性や自社の業務形態を踏まえ、早期に最適な通信手段を選定することが重要です。
光回線
光回線はインターネットを利用するIP電話サービスの基盤となる通信回線であり、高速かつ安定したデータ通信を可能にします。ビジネスフォンではIP-PBXやクラウドPBXと連携することで、複数拠点間の内線化やスマートフォン・PCとの連携が実現でき、柔軟な通信環境を構築できます。
アナログ回線やISDNと比較して同時通話数が多く、通話コストも比較的低く抑えられる点は大きなメリットです。ただし、停電時には通信が停止するおそれがあるため、無停電電源装置(UPS)の併用といった備えが必要になります。
今後の主流となる通信方式として、拡張性や利便性を重視する企業にとっては有力な選択肢です。通信インフラの見直しを行う際は、光回線を前提とした機器の選定が推奨されます。
ビジネスフォンの基本的な3種類とは?
ビジネスフォンには仕組みや導入方法の異なる3つのタイプが存在します。安定性を重視するレガシーPBX、柔軟性とコストバランスに優れたIP-PBX、初期費用を抑えて導入しやすいクラウドPBXなどそれぞれに特徴があります。ここでは導入環境や運用ニーズに応じて最適な選択ができるよう、各タイプの違いを見ていきましょう。
・レガシーPBX
レガシーPBXとはオフィス内に物理的な主装置(PBX)を設置し、アナログ回線やISDN回線を通じて電話機と接続する、従来型のビジネスフォンシステムです。長年にわたる運用実績があり、通話の安定性や操作のしやすさが評価されています。特に操作性に優れており既存設備との相性も良いため、中小企業を中心に一定の需要があります。
また、中古機器の流通が多く、導入コストを抑えやすい点も魅力です。ただし、初期費用や配線工事が必要となることに加え、柔軟性や拡張性には限りがあります。
そのため、特定の運用環境に合わせた構成を維持したい企業や、安定した通信基盤を重視する事業者に適した選択肢といえるでしょう。
・IP-PBX
IP-PBXとはインターネット回線を活用して社内外の通話を管理する、法人向けの電話システムです。主装置を社内に設置し、従来の電話回線ではなくIP回線を使うことで音声をデータ化してやり取りします。
この仕組みにより拠点間での内線通話やスマートフォン・PCとの連携が可能となり、通信コストの削減や柔軟な働き方にもつながります。さらに、LANケーブルを活用することで、オフィスのレイアウト変更にも柔軟に対応できます。
一方で、導入にあたっては専用機器やネットワークに関する知識が必要となり、通信品質もインターネット環境に左右される点には注意が必要です。
・クラウドPBX
クラウドPBXとはインターネット上に構築された仮想的な主装置を利用して、社内外の通話を制御するビジネスフォンシステムです。従来のように物理的な機器を社内に設置する必要がなく、ネット環境とスマートフォンやPCといった対応端末があれば、どこからでも会社の電話番号で発着信や内線通話が行えます。
導入にあたって大規模な工事が不要なため、初期費用を抑えやすい点も特長です。多拠点展開やリモートワークとの親和性が高く、柔軟な働き方を支援します。
ただし、音声品質は通信環境の影響を受けやすく、番号を継続して使用できないケースもあるため、導入前に十分な確認が必要です。
レガシーPBX(従来型)の特徴と向いている企業
安定した通話環境を求める企業に根強い支持を集めるのが、従来型の「レガシーPBX」です。物理的な主装置を社内に設置するこのタイプは、長年の実績と信頼性の高さが魅力です。ここではレガシーPBXの具体的なメリット・デメリットを整理し、どのような企業に適しているのかを見ていきます。
レガシーPBXのメリット
レガシーPBXは通話品質の安定性と操作性の高さが特長のビジネスフォンです。長年の運用実績があり多くの利用者が使い慣れているため、導入後もスムーズに運用できます。中古機器の流通が豊富なことから、コストを抑えて導入や増設を行いやすい点も魅力です。
既存の設備との親和性が高いため、システムの一部のみを変更したい企業にとっては、特に有効な選択肢となります。また、主装置を社内に設置することで、外部ネットワークに依存しない強固なセキュリティ環境を構築できるのもメリットです。
設備面やITリテラシーに不安がある企業でも扱いやすく、長期間にわたり同じ構成で安定して運用したい中小企業には適したシステムといえるでしょう。
レガシーPBXのデメリット
レガシーPBXは安定した通話品質と操作性に優れる一方で、導入や運用においては課題もあります。たとえば主装置や配線工事にかかる初期費用が高く、設置には専用のスペースも必要です。移設や増設の際には配線作業が発生し、その都度コストと時間がかかってしまいます。
さらに、スマートフォンやPCとの連携機能が限定的で、リモートワークやモバイルワークといった柔軟な働き方には対応しにくい点も否めません。拡張性や柔軟性に乏しいため、業務環境の変化に対応する必要があるスタートアップや、多拠点展開を想定する企業には適していない場合があります。
こうした特徴を踏まえたうえで、自社の将来的な運用方針に合致するかどうか、慎重に判断することが重要です。
おすすめの導入企業タイプ
レガシーPBXの導入が適しているのは通話の安定性を重視する企業や、既存設備との互換性を活かして運用したい中小企業です。従来型のビジネスフォンに慣れた社員が多い職場では新しい操作に戸惑うことが少なく、導入後の教育コストも抑えられます。
拠点が1か所に限られており、電話機の増設やレイアウト変更の頻度が少ないオフィスでは、レガシーPBXの扱いやすさが活きてきます。また、インターネット環境が整っていない、もしくはセキュリティの観点からネット回線に依存したくない企業にも適した選択肢です。
通信基盤を長期間にわたり固定し、安定した運用を維持したい場合において、有力な候補となります。
IP-PBXの特徴と向いている企業
インターネット回線を活用して通話を制御するIP-PBXは、通信コストの削減と柔軟な働き方の両立を目指す企業に注目されています。スマートフォンやPCとの連携により、多拠点やリモートワークにも対応可能です。ここではIP-PBXの具体的なメリットや注意点、導入に向いている企業の特徴について解説します。
IP-PBXのメリット
IP-PBXの最大のメリットは、インターネット回線を活用することで通信コストを削減できる点です。特に、拠点間や長距離の通話を内線化できるため、従来の外線通話に比べてコストを抑えやすくなります。
また、スマートフォンやPCをビジネスフォンとして活用できるため、リモートワークや外出先でも会社番号での通話が可能です。LANケーブルを使った接続により、オフィスのレイアウト変更にも柔軟に対応できます。
こうした特長は、複数拠点を持つ企業やモバイル端末を多用する業態にとって非常に有効です。さらに既存の社内ネットワークと統合しやすく、業務全体の効率化にもつながります。
IP-PBXのデメリット
IP-PBXは多機能で柔軟性に優れる一方で、導入に際してはいくつかの注意点があります。まず、主装置やVoIPアダプタなどの専用機器が必要となるため、初期費用が高くなる傾向にあります。
また、設置や設定にはネットワークに関する知識が求められ、専門業者への依頼が前提となるケースも少なくありません。通信はインターネット回線に依存するため回線の混雑状況によっては音声品質が不安定になることがあり、ノイズや遅延が発生する可能性もあります。
さらにFAXや電子錠、ドアホンといった外部機器との連携には制限があるため、既存の電話設備をそのまま活用したい企業にとっては不向きな面もあります。導入を検討する際は、自社の運用環境や技術体制との整合性を十分に確認することが重要です。
おすすめの導入企業タイプ
IP-PBXは複数拠点を持つ中小企業や、スマートフォンやPCを業務用端末として活用したい企業に適しています。特に、営業所やサテライトオフィス間で内線通話を活用したい場合や、リモートワークに対応した通信環境を整備したい企業には有効です。
また、既存の社内ネットワークを活かしてビジネスフォンを構築したい企業にとっては、コストと柔軟性のバランスに優れた選択肢となります。一方で、初期費用の負担や設定に関する技術的なハードルがあるため、導入には一定のITリテラシーと専門業者との連携が欠かせません。
中長期的に通信コストの削減と業務効率化の両立を図りたい企業にとって、IP-PBXは理想の導入形態といえるでしょう。
クラウドPBXの特徴と導入に向いている企業
クラウドPBXは初期費用を抑えて柔軟な通信環境を構築できる点で注目を集めています。スマホやPCとの連携がしやすく、在宅勤務や多拠点運営にも対応可能です。ここではクラウドPBXの仕組みや利便性を整理しながら、そのメリット・デメリット、導入に適した企業像について解説します。
クラウドPBXのメリット
クラウドPBXの最大のメリットは物理的な主装置を必要としないため、初期費用を大幅に抑えられる点にあります。スマートフォンやPCをビジネスフォンとして活用できるため、専用端末の購入や配線工事といったコストも最小限で済みます。
また、インターネット環境さえあれば自宅や外出先からでも会社番号での発着信や内線通話が可能です。柔軟な働き方を実現できるほか、多拠点展開にも適しており、拠点間通話にかかる費用の削減にもつながります。
さらにBCP対策としても有効であり、災害時においても迅速な復旧が期待できます。導入までのリードタイムが短い点も魅力で、成長段階にある企業やリモートワークを積極的に取り入れている事業者にとって、おすすめの選択肢といえるでしょう。
クラウドPBXのデメリット
クラウドPBXは初期費用を抑えられる点や柔軟な運用が可能な点で、多くの企業にとって魅力的な選択肢です。
一方で、いくつか注意すべき点もあります。まず、インターネット回線に依存しているため、回線が不安定な場合には通話品質が低下し、業務に支障をきたすおそれがあります。また、毎月の利用料が発生するため、長期的に見るとコストが高くなるケースもあります。
さらに、既存の電話番号をそのまま使用できない場合もあり、番号の引き継ぎが困難な場合には、取引先への周知対応が必要です。FAXやドアホンなど、従来の電話設備と連携しづらい点も、導入前に考慮すべきポイントといえます。
導入を検討する際は、自社の通信環境や運用体制、必要とする機能をあらかじめ明確にし、慎重に判断することが大切です。
おすすめの導入企業タイプ
クラウドPBXの導入は初期費用を抑えつつ、スピーディーに通信環境を整えたい企業に適しています。特に、スマートフォンやPCを業務端末として活用しているスタートアップや中小企業、多拠点展開やリモートワークを積極的に取り入れている事業者にとっては、有効な選択肢です。
また、BCP対策としての効果も期待でき、災害時の業務継続性を重視する企業にも向いています。社員の移動が多く、固定席を持たない働き方が浸透している現場においても、柔軟な対応が可能です。
ただし、通話品質や電話番号の引き継ぎに関しては一定の制約があるため、自社の運用環境との相性を事前に確認しておくことが重要です。拡張性やコスト効率を重視する企業であれば、導入を検討する価値があるでしょう。
種類別に見るビジネスフォンの費用相場
ビジネスフォンを導入する際の費用は、選択するシステムによって大きく異なります。ここでは、各ビジネスフォンの費用相場を紹介しますので、どのシステムが自社のニーズに最適なのかを判断するための参考にしてみてください。
▼初期費用と設置費用の目安
ビジネスフォンを導入する際の初期費用は、選択するシステムによって大きく異なります。
レガシーPBXでは主装置や電話機、配線工事が必要となり、初期費用は数十万円から数百万円にのぼることがあります。IP-PBXの場合は、主装置やネットワーク機器を含めた導入が必要で、費用の目安はおおよそ10万円から100万円程度です。
一方、クラウドPBXは物理的な主装置が不要なため、初期費用を大幅に抑えることができます。数千円から数万円程度で導入できるケースが多く、基本的には設定のみで運用可能です。ただし、アダプタやオプション機器が別途必要となる場合もあります。
導入を検討する際は、必要な機器や工事の有無をあらかじめ確認し、自社の運用環境に最適なプランを選定することが大切です。
ビジネスフォンを導入する際の費用は、選択するシステムによって大きく異なります。ここでは各ビジネスフォンの費用相場を紹介しますので、どのシステムが自社のニーズに最適なのかを判断するための参考にしてみてください。
システム種類 |
初期費用の目安 |
設置費用・工事費の有無 |
特徴 |
レガシーPBX |
数十万円〜数百万円 |
必要(配線工事など) |
主装置・電話機・配線工事が必要。高額になりやすい |
IP-PBX |
約10万円〜100万円前後 |
必要(ネットワーク工事) |
VoIP機器・ネットワーク機器を含む導入が必要 |
クラウドPBX |
数千円〜数万円 |
基本不要(設定のみ) |
主装置不要。端末と初期設定費のみで済むことが多い |
▼月額・保守費用の目安
ビジネスフォンの月額費用は、導入するシステムの種類によって異なります。
レガシーPBXの場合、1回線あたり月額3,000円〜5,000円の基本料金がかかり、保守費用として1,000円〜2,000円程度が別途必要です。IP-PBXも同様に月額3,000円〜5,000円が目安ですが、ネットワークの設定や維持管理が求められるため導入には一定の知識と追加費用がともないます。
一方、クラウドPBXでは1ユーザーあたり月額3,000円〜12,000円の基本料金が発生します。保守費用は基本料金に含まれていることが多いものの、機能の追加やユーザー数の増加に応じて費用が上がる点には注意が必要です。
それぞれのシステムの特徴や運用環境に応じて、最適なプランを選ぶことがランニングコストの見直しにつながります。
システム種類 |
月額費用の目安 |
保守費用の目安 |
特徴 |
レガシーPBX |
回線ごとに月額3,000円〜5,000円 |
月額1,000円〜2,000円程度 |
通話料・オプション料金が別途発生。固定回線のため利用人数に依存しにくい |
IP-PBX |
回線ごとに月額3,000円〜5,000円 |
月額1,000円〜2,000円程度 |
ネット回線併用。構内設備の保守費が継続発生 |
クラウドPBX |
ユーザーごとに月額3,000円〜12,000円 |
保守費用は基本料金に含まれる |
利用人数・機能で費用変動。外部保守不要で運用管理がしやすい |
ビジネスフォンの端末タイプのチェック
ビジネスフォンは、主装置や回線だけでなく「端末のタイプ」も用途に応じて選ぶことが重要です。固定型の卓上電話から移動に強いコードレス、スマホやPCとの連携が可能な機種まで多様化が進んでいます。ここでは業務スタイルに最適な端末を選ぶためのポイントを紹介します。
卓上タイプ、コードレスタイプの違い
卓上タイプとコードレスタイプは、利用シーンや働き方に応じて選ぶべきビジネスフォン端末の形式です。
卓上タイプはデスクに固定して使用するスタイルで、通話ボタンや保留・転送といった操作がしやすく、主に事務作業を行う社員に適しています。
一方、コードレスタイプはオフィス内を移動しながら通話できるため、フロア間を頻繁に行き来する営業担当者や管理職に向いています。導入時には、通話の安定性やバッテリーの持続時間なども確認しておくと安心です。また、責任者や管理者などには卓上での作業中は有線で使い、離席時にはワイヤレスで通話できる「カールコードレスタイプ」の導入が検討されることもあります。
業務スタイルに合わせて適切な端末を選ぶことで、社内コミュニケーションの効率向上が期待できます。
スマホ、PCとの連携可能な端末
近年では、スマートフォンやパソコンと連携可能なビジネスフォン端末の需要も高まっています。クラウドPBXやIP-PBXを活用すれば、物理的な電話機を使わずとも、スマホやPCを内線端末として利用できます。外出先や自宅から会社番号での発着信が可能となるため、テレワークや営業活動との相性も良好です。
専用アプリを導入すれば通話履歴の管理や転送設定もスムーズに行え、業務の効率化に貢献します。さらに、通話料の削減や機器設置にかかるコストを抑えられる点も大きなメリットです。
ビジネスフォンの各種類における目的別の選び方
ビジネスフォンの選定は企業のニーズに合わせた最適なシステムを選ぶことが重要です。それぞれのビジネスフォンには特有の特徴とメリットがあります。安定した運用を重視する場合はレガシーPBX、柔軟な働き方を支援したい場合はIP-PBX、コストを優先しつつ初期費用を抑えたい場合はクラウドPBXがおすすめです。ここでは、目的別にどのビジネスフォンが自社に合っているかを見極めるためのポイントを解説していきます。
安定運用なら「レガシーPBX」
レガシーPBXは物理的な主装置を社内に設置することで、通話の安定性と操作性を両立できる従来型のビジネスフォンです。長年の運用実績があり、操作に慣れた社員が多い企業では、導入後の教育コストを抑えられる点もメリットといえます。
また、中古機器の流通が豊富なため、低コストでの増設やリプレースにも対応しやすい点が魅力です。さらに、外部ネットワークに依存せず社内で通話環境を完結できるため、セキュリティ面でも安心感があります。通信トラブルのリスクを最小限に抑えたい企業にとっては、大きなメリットとなるでしょう。
一方で初期費用や配線工事の負担が大きく、システムの柔軟性には限界があります。しかし、「通話品質を重視したい」。「同じ設備を長く使い続けたい」といったニーズには十分応えられる構成です。
柔軟性重視なら「IP-PBX」
柔軟な働き方や多拠点展開を見据える企業にとって、IP-PBXの導入は有力な選択肢といえます。IP-PBXはインターネット回線を活用して通話を制御するシステムであり、スマートフォンやパソコンとの連携が可能です。
オフィス外でも会社番号での発着信ができるため、テレワークや外出中の社員との連絡にもスムーズに対応できます。また、拠点間を内線でつなぐことで、通話コストの削減にもつながります。LAN配線による接続で、オフィスのレイアウト変更にも柔軟に対応できる点もメリットです。ただし、導入にはVoIP機器やネットワークに関する知識が求められ、音質は通信環境の影響を受ける場合があります。
コスト優先なら「クラウドPBX」
コストを重視してビジネスフォンを導入したい企業には、クラウドPBXが適しています。物理的な主装置が不要でスマートフォンやパソコンを端末として活用できるため、初期費用を抑えることが可能です。工事の手間も最小限で済み、インターネット環境さえあればどこにいても会社番号での発着信や内線通話が行えます。
そのため、在宅勤務や多拠点運営との相性も良好です。さらに、ユーザー数や利用機能に応じて料金を柔軟に設定できるため、運用コストの最適化にもつながります。ただし、通話品質はネットワーク環境に依存するため、導入前に十分な確認が必要です。
自社に合ったビジネスフォンの種類を見極めよう
ビジネスフォンには「レガシーPBX」、「IP-PBX」、「クラウドPBX」という3つの主要な種類があり、それぞれに異なる特徴と費用構造があります。安定性や既存設備との親和性を重視するならレガシーPBX、柔軟な運用と拠点間連携を求めるならIP-PBX、初期費用を抑えたい場合やリモートワークに対応したい企業にはクラウドPBXが適しています。
導入にあたっては企業の規模や通信環境、今後の運用方針に応じて適した方式を選ぶことが重要です。費用面だけでなく、将来的な拡張性や保守体制も考慮しながら、自社にとって最適なビジネスフォンの選定を行いましょう。