2025.06.26

NTTビジネスフォンの歴史|代表機種の変遷と各機種の特徴を徹底解説

目次

ビジネスフォンの入れ替えや導入を検討する際、多くの担当者が直面するのが「どの機種を選べばいいのか」という悩みです。特にNTT製のビジネスフォンは種類が豊富で、導入時期によって機能や対応回線、操作性に大きな違いがあります。古い機種を引き継いで使い続けている企業も多い中で、性能差や機能の進化を理解しないまま買い替えると、思わぬコストや運用トラブルに繋がることも少なくありません。
そこで今回は、NTTビジネスフォンの歴史や代表的なモデルの特徴を整理し、それぞれの違いや選び方のポイントをわかりやすく解説します。NTT製品の信頼性やサポート体制にも触れながら、導入の失敗を防ぐための実践的な情報をお届けします。自社にとって最適な電話システムを選ぶための判断材料として、ぜひ参考にしてみてください。

NTTビジネスフォンの歴史を振り返る

NTTのビジネスフォンは、通信インフラの進化や企業ニーズの変化に応じて、多様なモデルが登場してきました。時代ごとの技術革新を背景に、各機種にはその時代ならではの特徴があります。まずは代表機種の年表をもとに、発売時期とともにモデルごとの主な特徴を整理してみましょう。

NTTビジネスフォンの年表と発売時期

機種名

発売年

主な特徴

NTT αRXII

2003年

小~中規模向け。アナログ回線・ISDN対応。

NTT αGX(<1>/<2>)

2004年

大規模対応モデル。αGX<1>は標準仕様、αGX<2>は拡張性や機能強化版。

NTT αNX

2008年

IP電話対応モデル。ネットワーク連携機能が強化。

NTT αNXⅡ

2013年

αNXの後継。スマート機能や録音ユニットに対応。

NTT αA1

2015年

留守番電話機能を標準搭載。操作性も向上。

NTT αN1

2018年

最新の回線インフラ対応、コンパクト設計。

NTT αZX

2021年

クラウド連携・IP機能強化。現行モデルの主力機種。

時代背景とビジネスフォンの役割の変化

2000年代初頭のビジネスフォンは、アナログ回線やISDN回線を前提としたシンプルな内線・外線通話機能が中心でした。しかし、ネットワークインフラの進化に伴い、2008年以降はIP電話への対応や各種スマート機能の搭載が進みます。
その後、働き方改革やテレワークの普及により、クラウド連携や遠隔操作、留守番電話の標準装備といった機能が拡充され、ビジネスフォンの役割も変化しました。単なる「通話機器」から、業務全体を支える「支援ツール」へと進化しています。
なかでも、最新のNTT αZXシリーズでは、クラウドPBXやスマートフォンとの連携といった柔軟性が強化されており、場所にとらわれないビジネスコミュニケーションの実現が可能になっています。

NTTブランドがシェアを伸ばした理由

NTTがビジネスフォン市場で圧倒的なシェアを誇る背景には製品の品質だけでなく、強固な販売・サポート体制の存在があります。NTT自身は機器を製造していませんが、SAXAやナカヨ、NECなど信頼性の高いメーカーと連携し、安定した供給体制を築いています。
また、全国に広がる販売代理店網と対応エリアの広さにより、導入から保守まで一貫したサポートが可能です。さらに、東日本と西日本でサービス提供を分担することで、地域に根差した柔軟な対応を実現しています。
中古市場においても流通量が多く、コストを抑えたい企業にとって導入しやすい点も魅力です。こうした複数の要素が組み合わさることで、NTTのビジネスフォンは選ばれ続けています。

代表的なNTTビジネスフォン機種の特徴

NTTビジネスフォンは時代ごとの技術革新や働き方の変化に応じて、多彩な機種が登場してきました。ここではαRXIIから最新のαZXまで、代表的な機種ごとの機能や進化のポイントを詳しく解説します。

①NTT αRXⅡ(2003年〜)の特徴

NTT αRXⅡは、2003年に登場した小規模から中規模オフィス向けのビジネスフォンです。アナログ回線やISDN回線に対応しており、当時主流だった複数回線での内線・外線通話を安定して運用できる構成が特徴でした。
主装置や電話機は、SAXAやナカヨといった外部メーカーが製造し、NTTの厳しい品質基準のもとで提供されていました。拡張性は高くないものの、初期費用を抑えて導入できるモデルとして多くの事業者に選ばれたビジネスフォンです。
なお、当時は留守番電話機能が標準で搭載されておらず、利用するにはRECユニットや専用電話機の追加が必要でした。中古市場では現在も流通量が多く、コストを抑えたい小規模事業者を中心に、今なお一部で使われ続けています。

②NTT αNX〜αNXⅡ(2008年〜)の特徴

2008年に登場したNTTαNXはIP電話に本格対応した初期のモデルとして位置付けられます。従来のアナログ回線やISDN回線に加えてネットワーク連携機能が強化され、オフィスの通信環境に柔軟性がもたらされました。
2013年に登場した後継機、NTT αNXⅡでは、スマートフォンや外部機器との連携が可能となり、業務効率を高めるスマート機能や録音ユニットへの対応も実現。これにより、コールセンターや情報管理が求められる業種にも対応できる仕様となっています。
また、従来はオプション扱いだった留守番電話機能も、RECユニットを活用することで全端末での操作が可能となり、利便性が向上しました。IP化の流れに対応したモデルとして、現在も一部の現場で現役で稼働しているケースがあります。

③最新機種NTT αZX(2021年〜)の特徴

NTTαZXは、2021年に登場した現行の主力機種であり、クラウド時代の業務ニーズに応える高機能モデルです。IP電話対応はもちろん、クラウドPBXとの連携機能も標準で備えており、テレワークや多拠点展開にも柔軟に対応できます。
スマートフォンとの連携や遠隔操作にも優れており、場所に縛られないビジネスコミュニケーションを実現可能です。また、従来はオプションだった留守番電話機能が初期状態で搭載されているため、RECユニットや専用機器を追加しなくても利用できます。
製造は外部メーカーによるものの、NTTの強固なサポート体制と全国規模の販売網により、導入後の運用も安定しています。クラウド対応と機能強化の両立を果たしたαZXは、今後のビジネスフォン選定において有力な選択肢といえるでしょう。

NTTビジネスフォンの技術的な特徴と進化

NTTビジネスフォンは、導入当初から現在に至るまで、通信インフラの変化に応じて多くの技術的進化を遂げてきました。ここでは、そうした技術面の特徴や進化のポイントについて、個別に解説していきます。

TEN番号方式とは?他社製品との違い

NTTビジネスフォンが採用している「TEN番号方式」は、主装置と電話機の間に明確な番号対応を設定する仕組みです。具体的には、主装置のTEN番号1番に接続された配線はTEN番号1番に設定された電話機でなければ動作しない設計となっています。
この仕組みにより、機器の移設や配線変更時にはTEN番号の再設定が必要になるものの、意図しない接続ミスや誤作動を防げる点が大きなメリットです。
一方、他社製品では「差せば使える」自動認識方式が主流で、レイアウトの柔軟な変更に対応しやすい反面、誤接続による混乱が生じやすい傾向があります。
安定性や管理の明確さを重視する企業にとっては、TEN番号方式のほうが適しているといえるでしょう。

留守番電話機能の進化

NTTビジネスフォンにおける留守番電話機能は、時代とともに大きく進化してきました。
初期のモデルでは標準搭載されておらず、機能を利用するには主装置にRECユニットを追加するか、専用のREC対応電話機を導入する必要がありました。そのため、導入コストや運用の手間が課題となっていたのです。
しかし、2015年に登場したαA1以降の機種では、留守番電話が標準機能として搭載されるようになり、設定や再生の操作が格段に簡単になりました。 さらに、2021年発売のαZXでは外部ユニットなしで全端末から操作が可能となり、利便性が大きく向上。不在時やテレワーク中でも、スムーズな情報共有を実現できるようになっています。
こうした機能の進化により、中小企業においても留守番電話を活用した業務効率化が、より手軽に実現できる環境が整ってきました。

製造委託とパートナーメーカーの関係性

NTTのビジネスフォンは、すべて外部メーカーに製造を委託しています。たとえば主装置はSAXA、電話機はナカヨ、拡張ユニットはNECや岩通が担当。各分野の専門メーカーと連携し、NTT独自の厳しい品質基準のもとで製品を提供しています。
製造は外部に委ねつつも、販売から保守までの体制はNTTが一貫して構築。全国に広がる代理店ネットワークにより、高いサポート体制を実現しています。この分業体制によって、最新技術の導入と安定した供給が両立し、ユーザーが安心して導入できる環境が整えられています。

NTTビジネスフォンはどのように選べばいい?

NTTビジネスフォンは多彩な機種が展開されており、自社に最適なモデルを選ぶにはいくつかの視点が必要です。回線環境や規模、必要な機能に応じて選定を誤ると、導入後に不具合や追加コストが発生する可能性もあります。ここでは「東日本・西日本の違い」や「選定時の注意点」など、導入時に押さえるべきポイントを解説します。

東日本・西日本の違いと選定の注意点

NTTのビジネスフォンは、サービス提供エリアに応じて「東日本エリア(NTT東日本)」と「西日本エリア(NTT西日本)」に分かれています。そのため機器を選定する際は、自社の所在地に対応したモデルを選ぶことが重要です。
ただし、ビジネスフォン本体の構造は東西で共通しており、混在して使用することも可能です。一方で、電話機の裏面には「東日本製」、「西日本製」と明記されているため、メンテナンスや部品交換の際に混乱を招かないよう注意が必要です。
また、販売代理店によっては対応エリアが限定されている場合もあります。購入前に自社所在地が取り扱い対象かどうかを確認しておくと安心です。

入時に押さえておきたい選定ポイント

NTTビジネスフォンを導入する際は、いくつかの選定ポイントを押さえておくことが大切です。
まず確認したいのは、回線種別(アナログ・ISDN・ひかり電話)への対応可否です。次に、必要な内線数や拠点数に応じて、拡張性があるかどうかも重要な判断基準となります。特にクラウドPBXやスマートフォンとの連携など、新しい働き方に対応した機能を求める場合は、最新機種の導入を検討するとよいでしょう。
あわせて、販売代理店のサポート体制や保守対応の範囲も事前に確認しておくと安心です。なお、中古機種を活用する場合は、現在の流通状況や保守対応の可否にも注目する必要があります。

NTTビジネスフォンの歴史を踏まえて最適な選択をしよう

NTTビジネスフォンはアナログ・ISDN時代からクラウドPBX対応機種まで、時代の変化に応じて進化を重ねてきました。技術革新だけでなく、製造委託による高品質な機器供給や全国規模の販売・保守体制もシェア拡大の大きな要因です。
機種ごとの特性や導入時の注意点を理解することで、自社にとって最適な選択が可能になります。歴史と現行機種の特長を踏まえ、業務に合ったビジネスフォン選定を進めましょう。