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ビジネスフォンは、業務の円滑なコミュニケーションを支える重要なツールです。しかし、近年はクラウドPBXの台頭やテレワークの普及により、製品やメーカーの選択肢が多様化し、どれを選べばよいか迷っている方も多いのではないでしょうか。導入後の使い勝手やサポート体制はもちろん、将来の拡張性や自社の業種との相性も選定時の重要なポイントです。 そこで今回は、ビジネスフォン市場の最新トレンドや主要メーカーの特徴、導入規模・業種別のおすすめメーカーについて解説します。選定に迷っている方はぜひ参考にしてみてください。
ビジネスフォン市場の最新動向
ビジネスフォン市場はテレワークの浸透やクラウドPBXの普及といった働き方の変化により、近年大きく様変わりしています。ここでは 国内市場の規模やクラウド対応製品の動向など、最新の市場状況を詳しく解説します。
・国内ビジネスフォン市場の現在規模
国内のビジネスフォン市場は、現在も一定の需要を保ちながら推移しています。2020年時点の市場予測によるとPBXは約275億円、ビジネスフォン本体は約401億円とされており、市場全体ではおおよそ700億円規模と見込まれています。
一方で、新品市場は近年横ばいの傾向が続いています。この背景には製品の耐用年数の長さや、中古市場の拡大といった要因が影響しています。特にビジネスフォンは法定耐用年数が6年とされているものの、10年以上使用されるケースも多く、買い替えの需要はあるものの、タイミングが分散しやすいという特徴があります。
さらに、テレワークの普及やクラウドPBXの浸透により、従来の主装置型からクラウド型への移行も進みつつあります。それに伴い、市場構造にも変化が生じており、今後はクラウド対応機種やスマートフォンとの連携機能を備えた製品への需要が拡大していくと考えられます。
・クラウドPBXの普及が市場トレンドを牽引
クラウドPBXの普及は、近年のビジネスフォン市場における大きな転換点となっています。従来は社内にPBX機器を設置するオンプレミス型が一般的でしたが、クラウドPBXはインターネット回線を活用することで、初期費用を抑えながら柔軟に運用できる点が支持を集めています。
特にリモートワークの拡大やBCP(事業継続計画)への対応が求められる中、スマートフォンとの内線連携や拠点間通話のコスト削減といった利便性が評価されています。実際、アメリカではクラウドPBX市場が年平均23.5%という高い成長率を記録しており、日本国内でも中小企業を中心に導入が進んでいる状況です。
今後は、クラウドPBXがビジネスフォンの主流として、さらに存在感を高めていくことが予想されます。
主要ビジネスフォンメーカーのシェア比較
ビジネスフォンの導入を検討する際、各メーカーの市場シェアを把握しておくことは、製品選定の大きな手がかりになります。ここでは主要メーカーのシェア状況と特徴を比較しながら紹介します。
【シェア第1位】NTT:約50%の圧倒的シェアを維持
NTTは、国内のビジネスフォン市場で約50%という圧倒的なシェアを持つ最大手メーカーです。ブランド力と高い信頼性により、企業規模を問わず多くの導入実績があります。
流通量が豊富であることから、中古品の入手がしやすく故障時の部品交換や増設にも柔軟に対応可能です。また、スマートフォンとの連携機能やテレワーク対応も強化されており、リモートワークの広がりにも的確に応えています。
最大576台までの接続に対応した拡張性の高いモデルもあり、コールセンターや大規模施設においても安心して導入できる設計です。さらに、全国に多数の販売代理店が存在し、導入後のフォロー体制も整っているため、サポート面でも安心感があります。
【シェア第2位】SAXA(サクサ):約20%で中小企業に高い支持
SAXA(サクサ)は、ビジネスフォン市場で約20%のシェアを持ち、特に中小企業から高い支持を得ているメーカーです。NTTの一部製品をOEM提供している実績があり、業界内での技術力にも定評があります。コストパフォーマンスと機能性のバランスに優れ、導入しやすさも魅力の1つです。
代表機種である「PLATIA」シリーズは、スマートフォンとの連携やツインコール・外線自動転送機能などを備え、テレワークや外出先での利用にも柔軟に対応します。薄型かつ省スペース設計のため、SOHOや小規模オフィスでも使いやすく、中古市場でも初期費用を抑えたい企業から人気を集めています。
また、セキュリティ機能を搭載したモデルも展開しており、防犯性を意識したオフィス環境の構築にも貢献します。設計・価格・使い勝手のバランスが取れたSAXAは、ビジネスフォンの導入を検討している企業にとって、安心して選べる選択肢といえるでしょう。
【シェア第3位】NEC:約20%で拡張性と安定性に定評
NECは、ビジネスフォン市場で約20%のシェアを持つ大手メーカーです。特に拡張性と安定性の高さに定評があり、多拠点展開やコールセンターでの導入実績も豊富です。
受電業務を効率化する「待機時間優先ルーティング」や「スキルベースルーティング」といった機能が充実しており、業務フローの最適化にも貢献します。また、スマートフォンとの連携にも対応しているため、テレワークや外出先からの通話にも柔軟に対応できます。
初期構成からのスムーズな増設が可能な点も、拡張性を求める成長企業にとって魅力です。さらに、オンプレミス型とクラウド型を組み合わせたハイブリッド構成にも対応しており、将来的な運用スタイルの変化にも柔軟に対応できるのが特徴です。
【シェア第4位以下】NAKAYO(ナカヨ)・HITACHI(日立)・IWATSU(岩通)などが拮抗
NTT・SAXA・NECに続くシェア第4位以下のポジションでは、NAKAYO(ナカヨ)、HITACHI(日立)、IWATSU(岩通)といった老舗メーカーが拮抗しながら存在感を示しています。
NAKAYO(ナカヨ)は介護・医療・宿泊施設など特定業種向けに特化した機能が高く評価されています。ナースコール連携や外線転送の簡易化など、現場の実情に即した導入が可能です。
HITACHI(日立)は堅牢性と操作性に優れ、長時間の通話にも配慮した快適な設計が特徴です。IP電話対応機種も豊富で、コスト重視の企業にも支持されています。
IWATSU(岩通)は、省エネ性能に強みがあります。待機電力を大幅に削減できる「エコモード」や、スマートフォンとの連携機能が高く評価されています。
いずれのメーカーも中小規模の企業や業種特化型のニーズに柔軟に応える製品を展開しており、シェアは拮抗しているもののそれぞれが明確な強みを持っているのが特徴です。
メーカー別の特徴と選ばれる理由
ビジネスフォンはメーカーごとに強みや特長が異なり、選定次第で導入後の使い勝手や拡張性、サポート体制に大きな差が出ることもあります。ここでは主要メーカーごとの強みや選ばれる理由についてご紹介します。
・NTT ― 国内シェアNo.1、信頼性とサポート体制の強さで選ばれる
NTTは、国内のビジネスフォン市場で約50%という圧倒的なシェアを誇ります。その背景には、信頼性の高さと充実したサポート体制が挙げられます。
主力機種である「SmartNetcommunity αZXシリーズ」は、小規模から大規模な事業所まで幅広く対応可能です。最大576台の電話機接続に加え、スマートフォンとの内線連携やクラウド連携など、多彩な機能を備えています。
トラブル発生時には回線と機器の両方をNTTに一括で相談できるため、保守面でも安心です。中古市場での流通量が多いことから、交換部品の調達や増設も容易に行えます。
さらに、長期保証やBCP対策機能、迷惑電話ブロック機能など実務に直結する機能も充実しています。業種や企業規模を問わず、さまざまなニーズに応えられる製品展開が特徴です。
・NEC ― 拡張性と多機能性に優れ、大規模オフィスやコールセンターに支持
NECのビジネスフォンは高い拡張性と多機能性を備えており、大規模オフィスやコールセンターを中心に支持を集めています。主力機種「UNIVERGE Aspire WX plus」では、スマートフォンの内線化や無線LAN・PHS対応、複数拠点での内線通話など、さまざまな業務スタイルに柔軟に対応可能です。
さらに、着信の振り分けや音声ガイダンス、ボイスメールなど、コールセンター業務の効率化を支える機能も標準で搭載されています。クラウドサービス「UNIVERGE BLUE」との連携により、スマートフォンやPCを電話端末として活用するハイブリッドな運用も実現できます。
業種ごとのニーズに合わせたカスタマイズや高度なセキュリティ機能も充実しており、安定稼働を重視する企業にとっては信頼できる選択肢といえるでしょう。
・SAXA(サクサ)― コストパフォーマンス重視の中小企業に人気
SAXA(サクサ)は、コストパフォーマンスに優れたビジネスフォンを展開しており、特に中小企業やSOHOから高い支持を得ています。代表的な「PLATIAⅢ」シリーズはコンパクトな設計ながら多機能を備え、スマートフォンとの連携やIPネットワークを活用した内線通話、複数拠点との連携にも対応可能です。
防塵・防水仕様のコードレス機器や、緊急地震速報への対応機能など、業種や利用環境を問わず柔軟に使える点が評価されています。さらに、設置スペースを有効活用できるスタンドの角度調整機能や、壁掛け対応の主装置も用意されており、デザイン性と使いやすさにも配慮がなされています。
・NAKAYO(ナカヨ)― 医療・介護現場に特化した使いやすさと安全性が魅力
NAKAYO(ナカヨ)は、医療・介護業界での導入実績が豊富なビジネスフォンメーカーとして評価されています。主力機種「NYC-X」には、ナースコールとの連携や多彩な転送機能、音声ガイダンスなど、現場のニーズに即した機能が標準搭載されています。
着信者を識別しやすくする7色LEDランプに加え、最大10,000件の電話帳登録や着信履歴、迷惑電話拒否リストの管理も可能。これにより、対応の効率化と安全性の両立が図れます。
さらに、スマートフォンとの連携や遠隔からの留守番メッセージ通知など、リモート対応機能も充実しています。直感的に操作できるシンプルな設計に加え、多忙な病院や介護施設でも安心して使える堅牢性の高さも特長です。
・HITACHI(日立)― 操作性と堅牢性に優れ、長期運用に最適
日立(HITACHI)のビジネスフォンは、操作性に優れ、堅牢な設計にも定評があるため、長期的な安定運用を重視する企業から支持されています。代表的なシリーズ「integral X」は、オフィス内外を問わず快適に使えるモバイル対応を備えており、場所にとらわれない柔軟なワークスタイルを実現できます。
また、衛生面や環境への配慮が施された筐体設計や、補聴器ユーザーにも配慮したヒアリングエイド対応など、利用者視点に立った設計が特徴です。加えて、業務効率を高める多彩な着信対応機能や、各種業務システムとの連携機能も充実。医療・福祉・ホテル業界をはじめ、幅広い業種で導入されています。
・IWATSU(岩崎通信機)― ホテル・病院向けに強い省エネ&柔軟対応型
IWATSU(岩崎通信機)は、省エネ性能と拡張性に優れたビジネスフォンを提供しており、特にホテルや病院などの施設向けに強みを発揮しています。主力機種である「Frespec II」は、スマートフォンやPCとの連携を前提に設計されており、クラウドやモバイル対応を標準装備。
さらに、受付システムやHELP機能、通話録音など実務を支えるアシスト機能も充実しています。医療や介護の現場で求められる迅速な対応やスムーズな連携にも対応可能です。
環境負荷に配慮した省電力設計や、端末ごとのECOモードにより、業務効率とコスト削減の両立も実現。IPネットワークによる多拠点対応やサテライトオフィスでの運用にも適しており、業種や企業規模を問わず柔軟に導入できる構成となっています。
導入規模・業種別に見るおすすめメーカー
ビジネスフォンの選定においては、企業の規模や業種に応じた適切なメーカー選びが重要です。ここでは導入規模や業種別に最適なメーカーと製品の特徴をご紹介します。
【大企業向け】高い信頼性と拡張性を備えたNTT・NEC
大企業におけるビジネスフォン選びでは、システムの信頼性や拡張性、保守体制の充実度が重要な判断基準となります。NTTとNECはいずれもこれらの要件を高い水準で満たす国内大手メーカーとして評価されています。
NTTの「SmartNetcommunity αZXシリーズ」は、最大576台の接続に対応しており、クラウド連携やスマートフォンの内線化、BCP対策など、大規模事業者向けの機能を幅広く備えています。
一方、NECの「UNIVERGE Aspire WX plus」は、多拠点展開やコールセンター対応に強みを持ち、音声ガイダンスや着信振り分け機能に加え、クラウドとオンプレミスを組み合わせた柔軟なハイブリッド構成にも対応可能です。
どちらのメーカーも導入後のサポート体制が整っており、業務の継続性や将来的な運用拡張を重視する企業に適しています。
【中小企業向け】コストと機能のバランスが取れたSAXA・IWATSU
中小企業にとって、導入コストと業務効率の両立は大きな課題です。そうした中で、SAXA(サクサ)とIWATSU(岩崎通信機)は、コストパフォーマンスと実用性のバランスに優れた選択肢として注目されています。
SAXAの「PLATIAⅢ」シリーズは、スマートフォンとの連携やIPネットワーク対応、コンパクト設計など、中小規模オフィスに適した機能を多数搭載。防塵・防水対応の機種やセキュリティ機能も充実しており、さまざまな現場環境に柔軟に対応できます。
一方、IWATSUの「Frespec II」は、省電力設計とECO機能により、環境負荷の低減とコスト削減を同時に実現。モバイルデバイスとの連携に加え、アシスト機能や録音・受付・HELP機能など、業種に応じた対応力も備えています。
【小規模事業者向け】初期費用を抑えて導入しやすいクラウドPBX
小規模事業者にとっては、導入コストを抑えながら柔軟に運用できることが重要な要件となります。クラウドPBXは物理的な主装置を設置せず、インターネット環境さえあれば利用できるため、初期費用を大幅に削減できるのが最大のメリットです。
さらに、スマートフォンを内線端末として活用できるため専用機器を用意する必要がなく、外出先や自宅からでもオフィスと同じように通話や転送を行えます。
複数拠点にまたがる通話も内線化できるため、テレワークや多店舗展開にも柔軟に対応可能です。電話番号の移行や保守の手間が少なくて済む点も魅力で、専任のIT担当者がいない企業でも安心して導入しやすいサービスといえるでしょう。
【医療・介護業界向け】転送機能とシンプル操作に優れたNAKAYO
医療・介護業界では、緊急時の迅速な対応と日常業務の効率化が欠かせません。NAKAYO(ナカヨ)は、こうした現場のニーズに応える多彩な機能を備えたビジネスフォンメーカーとして高い評価を受けています。
主力機種である「NYC-X」シリーズには、ナースコールとの連携機能や多様な転送機能、着信時に色で判別できるLED表示など、現場の情報伝達を確実に支える機能を標準装備。操作は直感的に行えるシンプルなインターフェースで、最大10,000件までの履歴や迷惑電話の拒否リストも管理できます。さらに、スマートフォンとの連携や遠隔通知機能にも対応しており、院内外を問わず柔軟な運用が可能です。
【製造・物流業向け】堅牢性と耐久性を重視するなら日立・NEC
製造業や物流業では、過酷な作業環境下でも安定して稼働する堅牢性と、長期間にわたり使用できる耐久性が求められます。日立の「integral X」は、防塵・防水仕様に加えてヒアリングエイド対応など、現場の多様なニーズに応える堅実な設計が特長です。モバイル対応により、柔軟なワークスタイルも実現できます。
一方、NECの「UNIVERGE Aspire WX plus」は、工場や倉庫を含む多拠点環境に適応しやすい柔軟性が魅力です。無線LANやPHSを活用したモバイル連携、さらには拠点間の内線化にも対応しており、広域運用をサポートします。
いずれの機種も高いセキュリティ機能を備え、業種に特化した運用支援機能も充実。現場のトラブルリスクを低減し、生産性向上に貢献します。厳しい環境下でも安定した通信インフラを必要とする企業には、日立とNECの両機種が有力な選択肢となるでしょう。
【コールセンター・多拠点展開企業向け】高拡張性と遠隔管理が可能なNEC・NTT
多拠点展開やコールセンターの運営では、通話品質の安定性に加え、拡張性や遠隔での管理のしやすさが重要です。
NECの「UNIVERGE Aspire WX plus」は、スマートフォンやPCを内線端末として活用できるハイブリッド構成に対応しています。PHSや無線LANを用いたモバイル内線化も可能で、拠点間をネットワークで結ぶことで通話コストを抑えつつ、柔軟なシステム構成が実現できます。
一方、NTTの「SmartNetcommunity αZXシリーズ」は、最大576台までの電話機接続に対応した大規模向けモデルです。クラウド連携やスマートフォンの内線化に加えてBCP対策機能も備えており、災害時などのリスクにも配慮されています。さらに、全国規模の保守体制や迷惑電話ブロック、音声のテキスト化機能など業務効率とセキュリティの向上に寄与する機能も充実しています。
【テレワーク・外出業務が多い業種向け】スマートフォン連携に強いSAXA・クラウドPBX
テレワークや外出業務が多い企業には、スマートフォンと連携できるビジネスフォンの導入が効果的です。SAXAの「PLATIAⅢ」シリーズは、専用アプリを活用することでスマートフォンを内線化でき、自宅や外出先でもオフィスの電話番号で発着信が行えます。
さらに、拠点間の内線通話や外線の自動転送にも対応しており、オフィスを離れていても円滑な連絡体制を確保できます。コードレス端末によるレイアウトフリーな構成が可能で、防水・防塵仕様のモデルもラインアップされているため、病院や工場など過酷な環境でも活用しやすい設計です。
一方、クラウドPBXは物理的な主装置が不要で、インターネット環境さえあればすぐに運用を開始できます。スマートフォンやPCを内線端末として利用でき、より柔軟な働き方を実現する手段として注目されています。
今後のトレンドと選定時の注意点
ビジネスフォンの選定においては単なる現在の使い勝手だけでなく、業務環境の変化やテレワーク対応といった今後のトレンドを見据えることが重要です。ここでは今後のビジネスフォン市場の動向と、選定時に押さえておきたいポイントについて解説します。
主流はクラウドPBXとスマホ連携|IT化に対応した選定を
近年のビジネス環境ではテレワークや多拠点展開が一般化しており、柔軟な働き方を支える通信インフラの整備が欠かせません。なかでも注目されているのが、クラウドPBXとスマートフォン連携機能です。
クラウドPBXは物理的な主装置を必要とせず、インターネット回線さえあれば場所を問わずに内線・外線通話が可能です。これにより導入や運用にかかるコストを抑えつつ、業務拡大にも柔軟に対応できます。
さらに、スマートフォンとの連携により、外出先でもオフィス番号での発着信が可能になります。専用アプリを使えば通話履歴や留守番電話の確認もスムーズに行え、出社を前提としない業務体制でも高い対応力を維持できます。
今後のシステム選定においては、こうしたクラウド型・モバイル対応型の仕組みを軸に、自社のIT環境や働き方に適した柔軟な構成を検討することが重要です。
トラブル時に備えるBCP対応が今後の必須条件に
近年、地震や水害、感染症の拡大といった予測不能な事態が相次ぐ中、事業継続計画(BCP)に対応したビジネスフォン環境の整備は、中小企業にとっても重要な備えとなっています。
従来のオンプレミス型PBXは、機器の故障や設置拠点の被災により通信が途絶えるリスクを抱えており、復旧には多くの時間とコストがかかるのが実情です。 これに対してクラウドPBXならインターネット接続さえ確保できれば、スマートフォンやPCを通じて即座に通信機能を再開できるため、テレワークへの移行もスムーズに行えます。
また、通話履歴のクラウド保存や自動転送機能を活用すれば、業務の中断を最小限に抑えることができ、非常時でも一定の業務継続が見込めます。
今後のビジネスフォン選定では、平常時の利便性に加え、非常時に業務を止めない仕組みを備えているかどうかが、重要な判断材料となるでしょう。
拡張性・柔軟性を見据えた製品選びが将来のコストを左右
ビジネスフォンを導入する際には、現在の業務規模だけでなく将来的な拡張や運用変更への対応力にも目を向ける必要があります。特にクラウドPBXは、端末の増減や拠点の追加、テレワーク環境への切り替えにも柔軟に対応できるため、成長途中の企業や変化の多い業種にとって有力な選択肢といえます。
配線工事を必要とせずに設備を増設できる点や、設定変更がソフトウェア上で完結する点も大きなメリットです。これらは将来的な運用コストに大きく影響します。
さらに、通話録音・IVR・CTI連携といった機能を後から追加できる製品を選んでおくことで、業務効率の向上やカスタマーサポートの強化にも柔軟に対応できます。初期費用だけにとらわれず、長期的な視点から拡張性や柔軟性に優れた製品を選ぶことが、結果的に総コストの最適化と安定運用につながります。
市場シェアと実績を参考に安心できるビジネスフォンメーカーを選ぼう
ビジネスフォンの導入にあたっては単に価格や機能を比較するだけでなく、市場シェアや導入実績、将来的な拡張性やサポート体制まで視野に入れることが重要です。国内ではNTTをはじめとする大手メーカーが安定したシェアを維持しており、それぞれが異なる業種・業態に応じた強みを持っています。特にクラウドPBXやスマートフォン連携といった機能が今後の主流となる中、柔軟な構成やBCP対応の有無も製品選びのポイントになります。
この記事で紹介した情報を参考に、自社の規模や業務スタイルに最適なメーカーを比較・検討し、安心して長く使えるビジネスフォンを選定しましょう。