ビジネスフォンメーカーの違いとは？おすすめメーカーの特徴と選び方を徹底解説

ビジネスフォンの導入や入れ替えを検討する際、「どのメーカーがいいのかわからない」、「機能の違いが見えづらい」と感じている中小企業の担当者は多いのではないでしょうか。特に導入経験が少ない場合、メーカー選びは悩みの種になりがちです。
そこで今回は、主要メーカーの特徴や得意分野をわかりやすく比較し、自社の規模や業種、目的に合った選び方のポイントを解説します。導入実績やサポート体制、スマホ連携や拡張性など重視すべき視点を整理しながら、最適なビジネスフォンの選び方も解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

ビジネスフォンのメーカーごとの主な違い

ビジネスフォンは、メーカーごとに機能や得意分野が異なるため、自社の業種や規模に合った製品を選ぶことが重要です。
たとえば信頼性やサポート体制を重視する場合はNTT、高い拡張性を求める企業にはNECが有力な選択肢となります。導入コストを抑えたい中小企業では、SAXAが人気を集めています。
また、介護・医療分野に特化した機能を備えるNAKAYOや、使いやすさを重視したHITACHIやIWATSUといったメーカーも、それぞれ独自の強みを持っています。
以下の表を参考に、各社の特徴を比較しながら、自社にとって最適なビジネスフォン選びに役立ててみてください。

主要ビジネスフォンメーカー6社の特徴とおすすめ企業規模

ビジネスフォンはメーカーによって得意分野や対応規模が異なり、自社に合う製品を見極めることが大切です。ここでは主要6メーカーの強みと対応力をわかりやすく紹介します。

NTT｜通信インフラに強く大規模オフィス向け

NTTは日本の通信インフラを支える大手企業として、ビジネスフォン分野でも高い信頼性とサポート体制を備えています。なかでも大規模オフィス向けの「αZXII type L」シリーズは、最大576台の電話機と192チャネルに対応しており、多人数による同時通話や内線管理に優れた機能を発揮します。
さらに、スマートフォンを内線化できる「MB510」や、クラウドPBXサービスにも対応しており、テレワークや複数拠点間の連携にも柔軟に対応可能です。IP電話、転送機能、CTI連携といった多彩な機能を備え、業務効率の向上をサポートしてくれます。
導入から保守までをワンストップで対応しているため、トラブル発生時の対応も迅速で安心です。

NEC｜高い拡張性と安定性で中～大企業におすすめ

NECは安定性と拡張性に優れたビジネスフォン、Aspireシリーズを展開しており、全国の企業から高い支持を得ています。シリーズ累計の出荷数は52万システムを超え、業種や企業規模を問わず柔軟に対応できる設計が魅力です。
スマートフォンの内線化やクラウドとの連携、拠点間通話のネットワーク構築にも対応しており、テレワークや多拠点展開にも強みを発揮します。将来的な業務拡大を見据えた通信インフラの整備にも適した製品といえるでしょう。さらに、不正アクセス防止機能や業種ごとのカスタマイズにも対応しており、コールセンター、医療、製造業など幅広い業態にフィットします。セキュリティと実用性の両面を重視した設計も、高い評価を受ける理由の1つです。

SAXA（サクサ）｜コストパフォーマンスに優れ中小企業向け

SAXA（サクサ）は、コストパフォーマンスに優れたビジネスフォンを提供しており、特に中小企業や小規模オフィスに適した製品構成が特長です。主力機種である「OPTYS」や「PLATIAⅢ」シリーズはコンパクトな設計のため設置場所を選ばず、スマートフォンの内線化やIPネットワークによる拠点間通話にも対応しています。
また、ひかり電話との相性が良く、通信コストを抑えながら柔軟な運用が可能です。着信時のメモ表示や迷惑電話対策、録音機能など、業務をサポートする多彩な機能も搭載。操作性はシンプルで初めて導入する企業でも扱いやすい仕様です。
さらに、防犯対策としてセンサー付き電話機を活用できるほか、緊急地震速報への対応機能も備えています。小規模事業者であっても、安心かつ高度な通信環境を実現できる点が魅力です。

NAKAYO（ナカヨ）｜介護・医療など専門業種の中小企業に最適

NAKAYO（ナカヨ）は介護施設や医療機関など、専門業種の中小企業に特化したビジネスフォンを展開しています。主力機種である「NYC-X」シリーズは通話録音やボイスメール、多彩な転送機能に加え、スマートフォンとの連携やコールバック機能にも対応。在宅勤務や訪問対応の多い業種に適した構成となっています。
電話帳や発着信履歴の保存件数は業界トップクラス。情報管理の効率化にも大きく貢献します。さらに、最大14カ所への個別転送設定が可能なため、スタッフの勤務形態に合わせた柔軟な運用が行えます。加えて、迷惑電話対策や発信規制といった安心機能も備えており、医療・福祉の現場でも高い信頼を得ています。

IWATSU（岩通）｜省エネ性能と柔軟な構成で多業種対応

IWATSU（岩通）のビジネスフォン「Frespec II」は、省エネ性と柔軟なシステム構成を両立しており、さまざまな業種に対応できるのが特長です。端末ごとに設定できるECO機能や省電力設計のPBXにより、環境への配慮と電力コストの削減を同時に図ることができます。
さらに、クラウドサービスと連携することでスマートフォンやPCを内線端末として活用でき、テレワークやサテライトオフィスといった多様な働き方にも柔軟に対応可能です。工場、医療・介護、商業施設など業種特有のニーズに応じた拡張オプションも豊富で、作業中でもスムーズに連絡が取れるよう工夫されています。
多機能電話機は視認性に優れ、操作も直感的。HELPボタン付きのアシスト機能など、現場での使いやすさにも配慮された設計が魅力です。

HITACHI（日立）｜シンプルな操作性で中規模オフィスに適応

メーカー別に見る！ビジネスフォンの代表的な機能比較

ビジネスフォンはメーカーによって搭載されている機能や対応できる業務スタイルに大きな違いがあります。ここでは各メーカーの代表的な機能の違いについて紹介します。

内線・転送機能に強いのはNTTとNEC

内線機能や転送機能に優れているのは、信頼性と実績を誇るNTTとNECです。
NTTでは、スマートフォンを内線端末として利用できる「MB510」モバイルアダプタやクラウドPBXサービスを提供しており、社内外を問わず柔軟な通話環境を構築できます。不在時の自動転送や、複数の転送先を設定できる点も魅力です。
一方、NECのAspireシリーズは、拠点間連携による無料の内線通話や着信振り分け、スマホの内線化など多彩な機能を標準で搭載。通話の効率化や、転送先の柔軟な設定に定評があり、部署間の連携を円滑にする仕組みが整っています。

スマホ連携・クラウド対応が進んでいるのはSAXA

SAXA（サクサ）は、スマートフォンとの連携機能やクラウド対応において、先進的な取り組みを展開しているメーカーです。代表的な製品「PLATIAⅢ」では、専用アプリ「MLiner」を利用することで、スマートフォンを内線端末として運用できます。これにより、社外からでもオフィスの電話番号で発着信が可能となり、業務の柔軟性が大きく向上します。
さらに、VPNやクラウドサービスと連携させることで、拠点間の通話や業務連携も円滑に行えるのが特長です。録音機能やIVR（音声自動応答）、ガイダンス作成機能などもクラウド上で柔軟に管理でき、運用面の利便性にも優れています。
スマートフォンの活用やテレワークを重視する中小企業にとって、SAXAのシステムは、導入しやすく高度な運用を実現できる有力な選択肢といえるでしょう。多様な働き方にフィットするビジネスフォンを検討している企業に特におすすめです。

操作性・UIの使いやすさで選ぶなら日立とIWATSU

ビジネスフォンの操作性やユーザーインターフェース（UI）を重視するなら、日立とIWATSUがおすすめです。
日立の「integral X」は、シンプルで直感的なデザインが特長。視認性の高いディスプレイや補聴器対応といったユニバーサルデザインが採用されており、誰にとっても扱いやすい設計です。導入後すぐに現場で活用できる操作性は、ITリテラシーにばらつきがある中小企業でも安心して導入できます。
一方、IWATSUの「Frespec II」は、人間工学に基づいたエルゴノミクス設計を取り入れ、端末ごとに設定可能な「ECO機能」も搭載。録音・転送・内線といった基本機能を効率よく使えるインターフェースにより、さまざまな業務スタイルに柔軟に対応できます。
使いやすさを重視する企業にとって、両社の製品はストレスの少ない業務環境を実現する有力な選択肢といえるでしょう。

高い拡張性とカスタマイズ性があるのはNECとNAKAYO

拡張性やカスタマイズ性を重視する企業には、NECとNAKAYOのビジネスフォンが適しています。
NECの「UNIVERGE Aspire WX plus」は、スマートフォンやPCとの連携、クラウドサービスとのハイブリッド運用に対応しており、最大10,000時間の録音や多拠点接続など、高度な構成にも柔軟に対応できます。
一方、NAKAYOの「NYC-X」シリーズは、最大14カ所までの転送設定が可能で、電話帳や通話履歴の大容量管理にも対応。着信ランプや音声ガイダンスのカスタマイズ機能も備えており、介護や医療といった専門性の高い現場にも適応します。
いずれも将来的な機能追加や業務に合わせた細やかな設定が行えるため、成長中の企業や特殊な運用ニーズを持つ中小企業にとって、長期的に安心して導入できる選択肢といえるでしょう。

セキュリティ機能を重視するならNECとNTT

セキュリティ機能を重視するなら、NECとNTTは信頼できる選択肢です。
NECの「UNIVERGE Aspire WX plus」は、不正アクセスを防ぐ機能やセンサー連動機器との連携に対応しており、オフィス全体のセキュリティ向上に貢献します。さらに、クラウドサービスと連携することで外部からのアクセス制御も可能となり、テレワーク環境でも安心して利用できます。
一方、NTTの「SmartNetcommunity」シリーズは、ひかりクラウドPBXの活用により、拠点間通話やスマートフォンの内線化を実現。通信経路の安全性にも配慮されているほか、機器や回線に不具合が生じた場合も、ワンストップで対応できる保守体制が整っており、万が一のトラブルにも強い運用が可能です。

ビジネスフォンメーカー選びで失敗しないためのポイント

ビジネスフォンの導入では、単に価格や知名度だけで判断すると、後から「思った機能がなかった」「サポートが不十分だった」といった後悔につながることがあります。ここでは、失敗しないビジネスフォンメーカー選びのポイントを紹介します。

業種・企業規模に強いメーカーから選ぶのが失敗を防ぐ近道

ビジネスフォンを導入する際は、自社の業種や企業規模に強みを持つメーカーを選ぶことが、失敗を避けるうえで効果的です。
たとえば社員数が多い企業や複数拠点を持つ組織では、拡張性や内線通話の柔軟性が求められます。一方小規模なオフィスの場合は、初期費用や運用コストを抑えつつ、必要な機能をシンプルに使える製品が適しています。
また、医療・介護・製造業など特定業種に特化した機能を備えた機種もあり、業務の特性に合った機種を選ぶことが、業務効率の向上につながるでしょう。
製品スペックだけで判断せず、導入実績や業種別の対応事例、アフターサポートの充実度なども含めて比較検討することが、自社にとって最適な選択につながります。

導入目的に合う機能があるメーカーを選ぶべき

ビジネスフォン選びで失敗を避けるには、自社の導入目的に合った機能を備えたメーカーを選ぶことも重要です。
たとえば外回りの多い営業チームがある場合は、スマートフォンの内線化やリモートコールバック機能が役立ちます。一方、来客対応が頻繁な業種では、IVR（音声自動応答）や通話録音、CTI連携などの機能が業務効率を大きく高めてくれます。
また、セキュリティを重視する企業では、不審者威嚇機能や迷惑電話対策機能の有無も選定のポイントになります。
必要な機能を事前にリストアップしておけば、不要なコストを抑えられるだけでなく、将来的な拡張や運用のしやすさにもつながります。

保守・サポートが手厚いメーカーを選ぶと安心

ビジネスフォンを導入する際は製品の性能だけでなく、保守やサポート体制の充実度にも目を向けることが重要です。導入後にトラブルが発生したり、操作方法がわからなくなったりしたとき、迅速に対応してもらえるかどうかは、日々の業務に大きな影響を及ぼします。
特に電話がつながらない、設定がうまくいかないといったトラブルが起きた際、すぐに連絡が取れて的確なサポートを受けられる体制が整っていれば、安心して運用を続けられます。
さらに、定期的な点検やリモートによるトラブル診断など、アフターサポートの内容が充実しているメーカーであれば、長期的にも信頼して利用できます。
価格や機能だけでなく、保守体制の質も比較することで、導入後の後悔を防ぐ選定につながります。

将来の拡張や他機器との連携を見据えて選ぶのが賢明

ビジネスフォンを選ぶ際は現在の業務に必要な機能だけでなく、将来的な拡張性や他機器との連携も見据えることが大切です。たとえば事業の拡大に伴って電話機の台数を増やす場合、拡張性の低い機種を選んでしまうとシステムの買い替えが必要になり、結果として無駄なコストが発生します。
また、スマートフォンやクラウドPBX、CTI、ナースコール、ドアホン、監視カメラなどとの連携が求められるケースも想定しておくべきです。
業務の変化に合わせて長く使えるシステムを導入することで、将来的な運用コストの抑制にもつながります。初期段階で「今後」を見据えておくことが、賢いビジネスフォン選びのカギといえるでしょう。

導入実績とシェアが豊富なメーカーは信頼性が高い

ビジネスフォンのメーカーを選ぶ際には、導入実績や市場シェアの多さも信頼性を見極める重要な指標となります。多くの企業で導入されているメーカーは、長年にわたり実績を積み重ねており、業界内でも一定の評価を得ています。
こうしたメーカーはサポート体制が整っていることが多く、トラブル時の対応や修理、部品供給も安定していて安心です。また、実績の豊富さに裏打ちされたノウハウがあるため、業種や企業規模に応じた柔軟な提案を受けやすい点もメリットといえます。
ビジネスフォンは長期間にわたって使用する通信インフラです。そのため、安定性やサポート面を重視したメーカーを選ぶことが、後悔のない導入につながるでしょう。

メーカー選びと併せて考えたい！導入方法と費用の違い

ビジネスフォンの導入では、メーカー選びと同様に「どのように導入するか」も重要な判断ポイントです。ここでは、それぞれの導入方法と費用の特徴について解説します。

購入・リース・レンタルで初期費用と月額コストが大きく異なる

ビジネスフォンの導入には「購入」、「リース」、「レンタル」の3つの方法があり、それぞれに初期費用や月額コストの特徴があります。
新品を購入すれば最新機能を利用でき、長期的にはコストを抑えられる可能性があります。ただし、導入時の初期費用は高額になりがちです。一方中古品を購入すれば初期投資を半額以下に抑えることも可能ですが、保証の有無や機器の状態を事前にしっかり確認する必要があります。
リースを利用すれば初期費用を抑えながら新品を導入でき、月額払いのため経費として計上しやすいというメリットがあります。その一方で、トータルの支払額は購入より高くなるケースが多く見られます。
期間限定の増設や短期導入には、契約期間の自由度が高いレンタルが適しています。ただし、長期間の利用には不向きで、結果として割高になる点には注意が必要です。

クラウドPBXとオンプレミス型で導入費用・運用コストに差が出る

クラウドPBXとオンプレミス型PBXでは、導入費用と運用コストの両面において大きな違いがあります。
オンプレミス型は、主装置の購入や配線工事が必要となるため、初期費用が高くなりがちです。たとえば主装置や電話機の設置だけでも数十万円から100万円以上かかることがあり、拡張や設定変更のたびに工事が発生します。
一方、クラウドPBXはインターネット環境さえあれば利用でき、機器の購入が不要な構成を選べば、初期投資を大きく抑えることが可能です。月額数千円から数万円程度の定額制で運用できるため、コストを平準化しやすい点もメリットといえます。
ただし、通信環境に左右されやすい面もあるため、自社の利用状況に応じた慎重な選定が求められます。

新設・入替・増設で費用項目が変わるため導入目的を明確に

ビジネスフォンを導入する際は、「新設」、「入替」、「増設」といった導入パターンによって、必要となる費用項目や金額が大きく異なります。
たとえば新規導入では主装置・電話機・配線工事などを一から整備する必要があるため、初期費用が高くなる傾向があります。対して、入れ替えの場合は既存の配線や構成をそのまま活用できることが多く、機器代や工事費を抑えやすくなります。
増設では主装置に空きポートがあるかどうかで費用が変動します。空きがない場合は主装置の交換が必要になることもあるため、事前の確認が欠かせません。
このように、導入の形態によって予算計画は大きく左右されます。まずは自社の目的と今後の運用方針を整理し、それに合った導入プランを検討することが大切となってきます。

中古機種を活用すれば導入コストを抑えられる可能性も

中古ビジネスフォンの活用は導入コストを大幅に抑える効果的な手段です。新品に比べ、1台あたりの価格が約3分の1〜半額程度で済むケースもあり、小規模オフィスや予算に限りがある企業にとっては大きなメリットとなります。たとえば主装置と電話機のセットを導入する場合でも、中古品なら数十万円のコスト削減が見込めます。
ビジネスフォンはもともと耐久性に優れた製品が多いため、整備済みの中古機であれば性能面でも問題なく使用できるケースがほとんどです。ただし、保証の有無や故障リスクには注意が必要です。信頼できる業者から購入し、導入前には動作確認やメンテナンス体制の確認も忘れないようにしましょう。
中古品を選択肢に加えることで、より柔軟で経済的な導入計画を立てることが可能になります。

自社に最適なビジネスフォンメーカーを見極めよう

ビジネスフォンは単なる通話機器ではなく、業務効率や顧客対応、さらには働き方改革を支える重要なインフラです。各メーカーには拡張性に優れたNEC、通信インフラに強いNTT、コスト重視のSAXA、専門業種に特化したNAKAYO、現場配慮が行き届いたIWATSU、操作性重視の日立など、それぞれ明確な強みがあります。自社の業種や業務スタイル、将来的な拡張ニーズを見据えたうえで、必要な機能とサポート体制が整ったメーカーを選ぶことが成功のカギです。比較検討を重ねたうえで、自社に最適な一台を導入しましょう。