2025.05.29

ビジネスフォンと家庭用電話の違いとは?機能・仕組み・選び方を徹底解説

目次

ビジネスで使用する電話機を選ぶ際、「ビジネスフォンと家庭用電話のどちらが適しているのかわからない」と迷っていませんか?それぞれの電話機には、構成や機能、導入コストなどに明確な違いがあり、企業の規模や業務スタイルによって最適な選択肢は異なります。
そこで今回は、ビジネスフォンと家庭用電話の仕組みや特徴、導入時のポイントを徹底的に解説します。主装置(PBX)の役割や、通信コスト削減・業務効率化につながるメリットなどもわかりやすく紹介しますので、自社に合った電話システムを選ぶための判断材料として、ぜひご活用ください。

ビジネスフォンとは?基本の仕組みと構成

業務用として多くの企業で導入されているビジネスフォンですが、一般的な家庭用電話と比べて何がどう違うのか、仕組みがわかりづらいと感じていませんか?ここではビジネスフォンの基本構成と主装置の役割について解説します。

主装置(PBX)と電話機のセットで構成される

ビジネスフォンはオフィス内の電話システムを制御する「主装置(PBX)」と、各部署や席に設置する「電話機」のセットで構成されています。主装置は、外部回線(外線)と社内回線(内線)を切り替えながら制御する役割を担い、複数の電話機による同時発着信や、無料の内線通話を実現するコア機器です。
電話機は主装置とケーブルやLANで接続されており、必要に応じて外線ユニット・内線ユニット・録音ユニットなどを増設することで、機能を拡張できます。これにより代表番号への同時着信(同報着信)や、通話中の保留転送、内線間での会議通話など業務に応じた柔軟な運用が可能となります。

内線や保留転送など業務向け機能が充実

ビジネスフォンの大きな特長は、社内業務を円滑に進めるための多彩な機能が標準で備わっている点にあります。
たとえば内線機能を使えばオフィス内の各席同士で無料通話が可能です。さらに、スマートフォンや遠隔拠点を内線化できるオプションを活用することで離れた場所との連携もスムーズになります。
また、保留転送機能を使えば外線着信をいったん保留し、担当者の電話機へスムーズに取り次ぐことができます。これにより、顧客対応の質が向上するでしょう。
そのほか、ワンタッチリダイヤルや通話録音、時間外の自動音声案内などのオプションもあり、受付や電話応対業務の効率化にもつながります。

ビジネスフォンと家庭用電話機との違いとは?

ビジネスフォンと家庭用電話機は見た目こそ似ていても、その構成や機能、導入方法には違いがあります。業務効率や通信コストに影響するため、安易に選ぶと後々の運用に支障をきたす可能性もあり注意が必要です。特に法人利用では、自社に適したシステムを見極めることが重要です。ここでは、それぞれの違いをわかりやすく解説します。

①購入方法の違い

ビジネスフォンと家庭用電話機では、購入方法にも大きな違いがあります。
家庭用電話機は家電量販店やオンラインショップで機種を選び、そのまま購入・設置できます。価格も数千円程度と手ごろで、設置作業もユーザー自身で対応できるのが一般的です。
一方、ビジネスフォンは専用の主装置と電話機をセットで導入する形式が基本です。販売代理店や通信事業者を通じて、見積もりや契約を行う必要があります。初期費用には機器代のほか、配線工事や設定費、保守サポート料なども含まれるため、総額は数十万円から数百万円に及ぶこともあります。
なお、リース契約を選べば初期費用を抑えつつ、故障時の交換サービスなどが利用でき、導入後の運用面にも配慮された契約形態となっています。

②設置方法の違い

ビジネスフォンと家庭用電話機では、設置方法にも大きな差があります。家庭用電話機は電話線を差し込むだけで使用できるため、特別な知識がなくてもすぐに利用を開始できます。
一方で、ビジネスフォンは主装置を介して複数の電話機を連携させる構造のため、専門業者による設置工事と初期設定が不可欠です。主装置では、外線・内線の制御や転送・保留といった機能の設定も行われ、業務に合わせた構成を整える必要があります。

③機能の違い

ビジネスフォンと家庭用電話機では搭載されている機能にも違いがあります。家庭用電話機は1回線・1台での利用を前提としており、内線通話や転送、保留といった業務向けの機能は備わっていません。
一方で、ビジネスフォンは主装置を介して複数の電話機を一元管理できる仕組みです。内線通話、保留転送、代表番号着信、不在時転送、通話録音、IVR(音声ガイダンス)など業務の効率化を支える多彩な機能を利用できます。
さらに、複数の電話番号を共有・管理できるため、部署間や拠点間のやり取りもスムーズに行えるのが特長です。

ビジネスフォンとPBXの違いも確認しよう

ビジネスフォンの導入を検討する際、主装置として欠かせない「PBX(構内交換機)」の存在についても理解しておくことが重要です。PBXは、内線や外線の管理を担う中心的な装置であり、その種類や機能によって運用の柔軟性が大きく変わります。ここではPBXの基本的な役割や種類、ビジネスフォンとの違いについて解説します。

PBXの定義と種類

PBX(Private Branch Exchange)とは、社内の電話機同士を内線でつなぎ、外線との発着信を制御するための電話交換機です。オフィス内の通話を効率化し、代表番号による着信の振り分けや転送機能を一元管理できます。
PBXには「オンプレミスPBX」、「IP-PBX」、「クラウドPBX」の3種類があり、近年ではインターネット回線を活用するIP-PBXやクラウドPBXの導入が増えています。特にクラウドPBXは初期費用を抑えながらスマートフォンの内線化にも対応できるため、柔軟な運用が可能です。テレワークとの相性も良く、多くの企業で採用が進んでいます。

ビジネスフォンとの機能的な違い

PBXとビジネスフォンはいずれも内線や外線の通話を制御するシステムですが、搭載されている機能には明確な違いがあります。PBXは、拠点間の内線通話やスマートフォンの内線化、CTIとの連携、さらには複数拠点の統合管理など高度な運用に対応できる仕組みを備えています。そのため、大企業や全国に拠点を持つ組織に向いています。
一方でビジネスフォンは数十〜数百台の電話機を接続可能であり、外線対応や保留転送、着信の鳴り分け、自動音声案内など、単一拠点での業務に適した機能が中心です。こうした違いを踏まえ自社の規模や運用目的に応じて、適切なシステムを選ぶことが大切です。

ビジネスフォンを導入するメリット

ビジネスフォンは単なる通話手段にとどまらず、業務効率や顧客対応の質、さらには通信コストの削減にも貢献する多機能な電話システムです。特に、複数拠点や多人数での運用が求められる企業においては、その利便性が大きな武器となります。ここではビジネスフォンを導入することで得られる主なメリットをご紹介します。

・通信コストを抑えることができる

ビジネスフォンを導入するメリットの1つが通信コストの削減です。家庭用電話では電話機の台数に応じて複数の回線契約が必要となり、ランニングコストがかさみがちです。
その点、ビジネスフォンは主装置を活用することで、1つの電話番号・回線を複数の電話機で共有できます。社内通話は内線扱いとなるため通話料がかからず、部署間での連絡が多い企業では大きなコスト削減につながります。
さらに、ひかり電話などの割安な通信回線を併用することで、外部との通話料も効率的に抑えることが可能です。

・業務効率が向上する

ビジネスフォンを導入することで電話対応を含む日常業務の効率が向上します。内線機能を活用すれば部署間の連絡がスムーズになり、担当者をわざわざ呼びに行く必要がなくなるため、無駄な移動時間を削減できます。
また、保留や転送機能により外線からの着信を一時的に保留し、該当の担当者へ的確に取り次ぐことが可能です。さらに、スマートフォンとの連携機能を導入すれば、外出先でも会社の番号で発着信ができるほか、内線通話も行えるため、リモートワークや営業活動中でも業務がスムーズに進むでしょう。

・顧客対応の質が向上する

ビジネスフォンを導入することで顧客対応の質を高めることもできます。保留転送機能を使えば、担当者が不在でも他のスタッフがスムーズに対応でき、顧客を待たせず迅速な応対が可能です。
また、複数の電話機で同時に着信を受けられるため、「話し中」による機会損失のリスクも抑えられます。さらに、通話履歴の共有や内線機能により社内の連携が円滑になり、より的確な対応が実現します。

・セキュリティが向上する

ビジネスフォンの導入はセキュリティ対策の強化にもつながります。主装置を通じて通話管理を一元化することで、不審な外部アクセスや盗聴のリスクを低減できます。
特にクラウドPBXやIP-PBXを活用すれば、通話履歴や通信ログをデジタルで記録・監視できるため、情報漏洩の防止にも効果的です。さらに、社員のスマートフォンを内線端末として利用する場合でも、専用アプリやFMC(固定・携帯融合)サービスを使えば、会社番号での発着信が可能となり、個人番号の漏洩を防げます。
加えて内線通話を活用することで業務連絡が外部ネットワークを経由せず社内で完結するため、より安心して運用できます。

・保留転送機能でどの電話機でも取り次ぎが可能になる

ビジネスフォンの特長の1つが「保留転送機能」です。この機能を使えばどの電話機で受けた外線でも、社内の別の電話機にスムーズに取り次ぐことができます。
たとえば代表番号にかかってきた電話を一度保留にし担当者の内線番号に転送するだけで、離れた部署やフロアの社員にも即座に対応を引き継げます。さらに、外出中の営業担当者へ携帯電話宛てに転送することも可能です。
このように折り返しの手間が減ることで対応スピードが向上し、結果として顧客からの信頼や満足度の向上にもつながります。社内に複数の電話機がある場合や、外回りの多い企業にとっては、業務効率を高めるうえで欠かせない機能といえるでしょう。

家庭用電話機を導入するメリット

コストや手間を抑えて電話環境を整えたい企業にとっては、家庭用電話の導入もおすすめです。特にスタートアップや小規模オフィスでは、複雑な工事が不要で、すぐに利用できる手軽さが魅力となります。ここでは家庭用電話を導入することで得られる具体的なメリットについて解説します。

・導入、月額コストが安い

家庭用電話は導入費や運用コストを抑えたい企業にとって魅力的な選択肢といえます。ビジネスフォンのような主装置や複雑な配線工事が不要で、電話機本体を用意するだけで利用を開始できるため、初期費用を大幅に削減できます。
さらに、月額の基本料金や通話料も比較的安価で、通信費の固定化にもつながります。IP電話サービスを活用すればさらなるコスト削減が見込める場合もあります。
小規模オフィスやスタートアップにとっては、必要最低限の通信環境を低コストで整えられる点がメリットです。導入の合理性は十分にあるといえるでしょう。

・設置、設定が簡単ですぐに使える

家庭用電話の魅力は設置や設定が非常に簡単で、すぐに使い始められる点にもあります。多くの機種はコンセントと電話線をつなぐだけで利用でき、専門的な知識や工事は不要です。
近年ではモバイル回線を活用したIP電話も登場しており、専用ユニットと電話機を接続するだけで設置が完了するタイプも増えています。特に、賃貸物件や小規模オフィスでは、壁の配線工事が不要なため管理会社への確認や手続きが省ける点も導入しやすさの一因です。
また、設定項目もシンプルで、機器の操作に不慣れな方でも迷わず使い始めることができます。

・場所をとらず省スペースで運用できる

家庭用電話機のもう1つの魅力は、限られたスペースでも無理なく設置できる点にあります。特にコードレス式を選べば配線の取り回しに悩まされることもなく、棚の上やデスクの隅など空きスペースを活用できます。
ビジネスフォンのように主装置や配線工事を必要としないため、省スペースかつ手軽に導入できるのが特徴です。筐体がコンパクトな製品も多く、自宅兼オフィスや個人事業主、スタートアップのような環境でも圧迫感なく使えます。
また、オフィスのレイアウトを変更する際にも柔軟に対応でき、業務スペースを有効に活用したい方にもおすすめです。機能も必要最小限に絞られており、操作がシンプルで誰でも扱いやすい点もメリットといえるでしょう。

ビジネスフォンがおすすめな企業

ビジネスフォンは、主に業務用の通話環境を整えたい企業に適した電話システムです。内線通話や保留転送などの機能が充実しており、組織内のコミュニケーションや顧客対応の効率を大きく向上させます。ここではビジネスフォンの導入が特に効果的な企業の特徴をご紹介します。

従業員数が多く複数回線を共有したい企業

従業員が多い企業では限られた電話回線を効率よく活用する仕組みが欠かせません。ビジネスフォンであれば、1つの代表番号を複数の電話機で共有できるため、多人数での電話応対が求められるオフィスにも適しています。
家庭用電話と異なり主装置を通じて複数回線を一元的に管理できるため、各部署ごとに外線・内線を柔軟に使い分けることが可能です。加えて、同時通話や保留機能、内線転送などの機能を活用することで顧客対応の取りこぼしを防ぎ、業務全体の流れもスムーズになります。
特にコールセンターや複数部署が存在する中規模〜大規模の企業にとって、ビジネスフォンは業務効率と信頼性を兼ね備えた通信インフラとして有効です。

代表番号や部署ごとの内線が必要な企業

代表番号や部署ごとの内線番号を活用したい企業には、ビジネスフォンの導入が適しています。代表番号を設けることで複数の外線着信を一元管理でき、問い合わせ窓口の統一と社外からの信頼性向上につながります。
さらに各部署に内線番号を割り当てれば、担当者へのスムーズな取り次ぎが可能になり、社内の業務フローも効率化されます。内線通話には通話料がかからないため、通信コストの削減にも貢献するでしょう。
特に、部署間での連携が頻繁に求められる中規模以上の企業においては、内線機能が充実したビジネスフォンが、業務の円滑な運用を支えるツールとなります。

電話対応の効率化を図りたい企業

電話対応を効率化したい企業にとっても、ビジネスフォンの導入は効果的です。ビジネスフォンには複数の外線や内線を柔軟に管理できる主装置をはじめ、保留・転送・短縮ダイヤル・通話録音といった便利な機能が備わっています。
たとえばかかってきた外線をワンタッチで他部署に転送できるため、取り次ぎの手間を減らし、対応のスピードを向上させることができます。また、スマートフォンと連携させることで外出中の社員も会社番号を使った通話が可能となり、顧客への対応を社内外問わずスムーズに行えます。

家庭用電話機が向いているケースとは?

ビジネスフォンと比較して導入コストが低く設置も簡単な家庭用電話は、企業の状況によっては十分に実用的な選択肢となります。特に、小規模なオフィスやスタートアップなどでは、必要十分な機能と扱いやすさが魅力です。ここでは家庭用電話が適している具体的なケースについて紹介します。

スタートアップや自宅オフィスの小規模運用の場合

スタートアップや自宅オフィスなど、少人数での運用には家庭用電話機やホームテレホンの導入が適しています。従業員が1〜2名程度で同時に電話を使用する機会が少ない場合、高機能かつ高価格なビジネスフォンはオーバースペックになる可能性があります。
特に初期費用や工事費を抑えたい創業初期の事業者にとっては、設置が簡単で月額コストも低い家庭用電話機は、コストパフォーマンスの高い選択肢といえるでしょう。
また、ホームテレホンを導入すれば2回線までの同時通話や転送機能にも対応できるため、小規模ながらも業務の効率を一定水準で保つことが可能です。

設備を最小限にしたい場合

事業の立ち上げ期や経費を抑えたい小規模オフィスでは設備費用を抑える手段として、家庭用電話やホームテレホンの導入が効果的です。ビジネスフォンは主装置や配線工事が必要なため、どうしても初期コストが高くなりがちです。一方、家庭用電話や主装置を内蔵したホームテレホンであれば、設置工事や機器本体の費用を大幅に削減できます。
特に同時に電話を使用する人数が2人以下の場合は、少ないチャネル数でも十分に対応可能です。必要最低限の通話機能や転送機能を備えたホームテレホンなら、業務に支障をきたすことなく、予算内での導入が現実的となります。省スペースで設置しやすい点も、小規模オフィスにとっては大きなメリットです。

ビジネスフォンと家庭用電話機との違いを理解して、自社に合った電話システムを選ぼう

ビジネスフォンと家庭用電話機は機能や設置方法、対応できる業務規模において大きく異なります。複数回線や内線、転送といった業務向け機能が必要な企業には、ビジネスフォンの導入が効果的です。
一方で通話頻度が少なく、設備費用を抑えたい小規模オフィスやスタートアップには、家庭用電話やホームテレホンといった選択肢も現実的です。どちらを選ぶべきかは、導入目的や社内の運用体制、将来の拡張性によって変わります。
本記事を通じて、各システムの違いや特徴を理解し、自社に最適な電話環境を構築する第一歩としてご活用ください。