2025.05.27

ビジネスフォンとは?選び方・機能・費用をわかりやすく解説

目次

業務効率の向上や顧客対応の質を高める手段として、ビジネスフォンの導入を検討する企業が増えています。一方で、「家庭用電話と何が違うのか」、「どのような機能があるのか」、「費用はどのくらいかかるのか」といった疑問を抱く方も少なくありません。
特に、これからオフィスを新設する企業の事業者にとって、通信環境の整備は業務基盤を築くうえで欠かせない要素です。
そこで今回は、ビジネスフォンの基本的な仕組みや家庭用電話との違い、主な機能、クラウドPBXとの比較に加え、導入時の注意点や費用の目安までを初心者にもわかりやすく解説します。適切な機種選びや導入のステップを理解し、自社に最適な通信環境の整備に役立ててみてください。

ビジネスフォンとは?

ビジネスフォンは、オフィスにおける業務用の電話システムとして多機能かつ効率的な通話環境を提供します。家庭用電話とは異なり、複数の回線や内線通話、保留・転送などの機能を備えており、業務効率の向上に貢献するでしょう。ここでは、ビジネスフォンの基本的な仕組みや特徴について解説します。

ビジネスフォンの仕組み

ビジネスフォンは単なる電話機ではなく「主装置(PBX)」と「専用電話機」で構成される通信システムです。主装置は外線と内線の制御を行う交換機として機能し、複数の電話回線を管理します。また、社内の電話機同士を内線として接続することで無料での通話も可能です。
たとえば、外線が1回線しかない場合でも主装置を介すことで複数の電話機で着信を共有できます。さらに、内線転送や保留機能なども活用でき、業務に応じた通話対応が可能になります。加えて「ユニット」と呼ばれる拡張基盤を追加することで、録音機能やスマートフォンとの連携、ドアホンとの連動といった機能もつけることが可能です。
ビジネスフォンは業務の効率化や通信コストの削減に貢献するシステムとして、多くの企業で導入が進んでいます。

家庭用電話機との違い

ビジネスフォンと家庭用電話機の最大の違いは、複数回線の制御や内線通話を可能にする「主装置」の有無です。
家庭用電話は基本的に1回線・1台の電話機で運用されるため、内線通話や転送といった機能は備わっていません。一方、ビジネスフォンでは1つの代表番号を複数の電話機で共有でき、どの端末でも着信を受けることが可能です。また、社内通話は内線で無料となり、コストを抑えながらコミュニケーションがとれます。
さらに、保留や転送機能を活用することで、担当者への取り次ぎも円滑になり、業務効率の向上にもつながるでしょう。
家庭用電話では、フロアごとに個別の回線を設ける必要があるため費用がかさみますが、ビジネスフォンなら必要最小限の回線数で済み、より経済的な運用が可能です。

クラウドPBXとの違い

クラウドPBXは、従来のビジネスフォンに必要だった主装置をクラウド上に設置し、インターネット回線を通じて電話機能を提供する仕組みです。物理的な主装置が不要で、スマートフォンやPCを端末として活用できるため、テレワークや複数拠点での運用にも対応できます。
一方、従来型のビジネスフォンはオフィス内に主装置を設置することで、安定した通信環境を構築できる反面、初期費用や保守管理の手間がかかります。
クラウドPBXは、低コストかつ短期間で導入でき、運用コストも抑えやすい点が特長です。ただし、インターネット環境に依存するため、通信の安定性には注意が必要です。

ビジネスフォンの主な機能

ビジネスフォンは、単なる通話手段にとどまらず、業務の効率化や顧客対応の質を高める多彩な機能を備えています。内線通話や転送、録音、自動応答など、オフィスのコミュニケーションを支える基本機能に加え、スマートフォンとの連携や着信管理といった機能も充実しています。ここでは、ビジネスフォンに搭載されている主な機能を紹介します。

①内線通話機能

ビジネスフォンの大きな特長の1つが「内線通話機能」です。主装置を通じて社内の電話機同士を接続することで、席が離れていても無料で通話できます。
部署間やフロア間の連絡をスムーズに行えるため、業務の効率化に貢献する機能です。また、内線番号を押すだけでつながるため、電話番号の入力ミスも防げます。さらに、機種によっては内線通話中でも別の内線からの着信を受けられる「話中呼出」や、不在時に他の内線へ転送できる「不在転送」など、便利なオプション機能も備わっています。
近年では、スマートフォンを内線として使えるモデルも登場しており、外出先や在宅勤務中でも社内と同じように連絡を取り合える点も魅力です。

②保留・転送機能

ビジネスフォンにおける「保留・転送機能」は、外線対応に欠かせない基本機能です。通話中に一時的に相手を待たせる「保留」では、受話器を置いても通話が切れないため、要件の確認や担当者への連絡が可能になります。また、「転送」機能を使えば、受けた外線を社内の内線にスムーズに引き継ぐことができます。
業務のスピードと正確性が求められる環境では、こうした機能が顧客対応の質を高め、業務全体の効率化にもつながります。

③通話録音機能

ビジネスフォンの通話録音機能は顧客対応の質を高め、トラブルの防止にも役立つ機能です。通話内容を記録しておくことで、「言った/言わない」といった行き違いを防げます。また、録音内容を社内で共有すれば業務改善や新人教育にも活用できます。
録音データは保存・再生が可能で、聞き取りづらかった部分を後から確認できる点も便利です。さらに、「この通話は録音されています」と事前にアナウンスすることで、クレーム対策やコンプライアンス強化にもつながるでしょう。
機種によっては、すべての通話を自動でバックグラウンド録音し、必要なデータのみを選んで保存できるタイプもあります。保存容量を最小限に抑えられるので、必要な場合は事前に機能を確認しておきましょう

④着信鳴り分け機能

着信鳴り分け機能は、着信音を相手や回線ごとに変えることで電話の発信元を音で判別できる機能です。たとえば「代表番号からの電話」、「部署専用番号への着信」、「取引先からの直通連絡」といった内容ごとに異なるベル音を設定することで、誰が対応すべき電話なのかを瞬時に判断できます。
無関係な部署が誤って対応するリスクを減らせるため、社内の混乱を防ぐうえでも効果的です。また、特定の回線だけに着信音を鳴らす設定も可能なため、不要な着信による業務の中断を防ぐことができます。さらに、担当者が不在の場合でも代理応答や内線転送機能と組み合わせることで、電話の取りこぼしを防げるでしょう。業務内容や組織構成に応じて柔軟にカスタマイズできる点は、ビジネスフォンならではの大きな強みです。

⑤留守番電話・自動応答機能

ビジネスフォンの「留守番電話・自動応答機能」は、営業時間外や担当者が不在の際でも顧客対応を可能にする機能です。
留守番電話は、用件を録音して後から確認できる基本機能に加え、部署や時間帯ごとに異なるメッセージを流せる2ch対応機種もあり、状況に応じた柔軟な運用が可能です。
一方、自動応答(IVR)機能では、着信時に音声ガイダンスを流し、発信者が用件に応じた番号を選ぶことで、必要な部署へ直接つなげます。これにより、取り次ぎの手間や対応ミスを防ぎ、業務効率の向上にも貢献します。
特にコールセンターや部署が多いオフィスでは、顧客満足度の向上にもつながる重要な機能といえるでしょう。

⑥スマートフォンとの連携機能

ビジネスフォンの「スマートフォン連携機能」は、外出先や在宅勤務中でも社内と同じ通話環境を実現できる機能です。例えば、スマートフォンを内線として設定すれば、社外にいても内線通話や転送対応が可能になります。
また、外線からの着信をスマートフォンへ自動転送する設定を行えば、オフィス不在時でも迅速な顧客対応が可能です。不在着信通知やリモートでの留守番電話再生機能を活用すれば、対応の取りこぼしも防ぐことができます。
スマートフォンとの連携によって業務の柔軟性が高まり、営業職やリモートワーク中心の職場では特に効果を発揮します。工事を伴わず導入できる場合もあるため、低コストでテレワーク環境を整備したい企業にもおすすめの機能です。

⑦複数番号・回線の同時運用機能

ビジネスフォンは複数の電話番号や回線を1台の電話機で同時に運用できる機能を備えています。これにより、部署ごとに異なる番号を割り当てたり、代表番号とは別に個別番号を使い分けたりと業務内容に応じた柔軟な対応が可能になります。
たとえば、営業部と総務部にそれぞれ別の番号を設定し、着信時には異なるベル音で区別することで、担当部署が即座に対応できる体制を整えることができます。さらに、ダイヤルインサービスを活用すれば、限られた回線数でも多くの番号を効率的に管理できるため、コストを抑えつつ対応力を高めることが可能です。
これらの機能は、複数の業務を並行して進める中小企業などにとって、電話対応の正確性と効率性を向上させられる機能といえるでしょう。

ビジネスフォンの構成要素

ビジネスフォンは主装置や専用電話機、各種ユニットといった複数の機器で構成されており、業務内容や規模に応じて柔軟にカスタマイズできるのが特徴です。これらの構成要素を正しく理解することで、自社に最適なシステムを選ぶことができます。ここでは、ビジネスフォンを構成する各機器の役割と特徴を紹介します。

主装置(PBX)

主装置はビジネスフォンの中核を担う装置であり、外線の収容と内線の制御を一手に引き受ける機器です。外部との通話や社内の内線通話をスムーズに行うために不可欠で、複数の電話機を管理・接続する役割を果たします。
主装置には「ユニット」と呼ばれる基板を差し込み、外線ユニット・内線ユニット・電源ユニットなどを組み合わせて構成します。これにより、会社の規模や業務内容に応じたカスタマイズが可能です。
たとえば留守番電話や通話録音、スマートフォンとの連携機能も、拡張ユニットを追加することで対応できます。主装置のクラスによって接続できる回線数や内線の台数が異なるため、将来的な拡張も見据えて選定することが求められます。

専用電話機

ビジネスフォンで使用される専用電話機は、業務に特化した多機能型の機種です。外線や内線ごとのボタン割り当てに加え、転送や保留、発着信履歴の確認、ワンタッチ発信など、業務を円滑に進めるための機能が充実しています。
設置にあたっては主装置との接続が必要であり、同一メーカー・同一機種で統一するのが一般的です。配線方式にはスター配線やLAN配線があり、オフィスの環境に合わせた構成で導入しましょう。
また、コード付きの据え置き型電話機に加え、移動しながら使用できるコードレスタイプも選べます。業務内容や使用シーンに応じて最適な機種を導入することで、業務の効率化と応対品質の向上が期待できます。

外線回線(アナログ・ISDN・IP回線)

外線回線はビジネスフォンが社外と通話するために不可欠な通信手段です。主にアナログ回線・ISDN回線・IP回線の3種類があり、それぞれ特性が異なります。
アナログ回線は1回線につき1通話のみの対応ですが、構成がシンプルなため小規模な事業所に適しています。ISDN回線は1回線で2通話を同時に行えるため、限られた回線数でも効率的に運用できるのが特長です。IP回線(ひかり電話など)は、インターネットを経由して通話する方式で、通信コストを抑えつつ柔軟な拡張が可能です。
主装置には、これら各種回線に対応した外線ユニットを装着する必要があり、利用目的や通信環境に合わせて選定する必要があります。業務内容に適した回線構成を整えることで、業務効率の向上と通信コストの最適化が期待できるでしょう。

内線ユニット

ビジネスフォンにおける内線ユニットは、社内の電話機同士を接続し、内線通話を可能にする基幹部品です。主装置のスロットに装着することで、複数の専用電話機の通話を一括して制御できるようになります。ユニットには8内線・16内線などの種類があり、対応台数に応じて選択することが可能です。 内線ユニットを導入することで、部署間やフロア間での無料通話が可能となり、業務連携や情報共有がスムーズに進みます。ただし、制御できる内線台数には上限があるため、将来的な増設や企業規模の拡大を見据えた構成を検討することが大切です。 また、ユニットの種類によっては多機能電話機やコードレス機器への対応可否が異なる場合があります。導入時には、接続予定の機器に適合するかどうかを事前に確認しておきましょう。

拡張ユニット(ドアホン・FAX・スマホ連携など)

拡張ユニットは、ビジネスフォンに多彩な機能を追加できる機器であり、業務の効率化や対応力の向上に活用できます。たとえば来客対応をスムーズに行う「ドアホン連携」、紙の送受信を支援する「FAX接続」、外出先でも社内通話と同様に利用できる「スマートフォン連携」などが代表的です。
これらのユニットは主装置に差し込んで使用する形式となっており、必要な機能のみを選んで導入できるため、無駄のない構成が可能です。また、自動応答、留守番電話、通話録音といった機能も追加でき、企業の通信環境に合わせた柔軟な対応が実現します。

ビジネスフォン導入のメリット

ビジネスフォンは業務効率の向上や通信コストの削減、柔軟な電話対応を実現する多機能な通信システムです。特に中小企業や新規開業を控えた企業にとって、限られた人員でも高品質な対応が可能になる点は大きな魅力といえるでしょう。ここでは、ビジネスフォンを導入することで得られる主なメリットを紹介します。

内線電話で社内の連携を強化できる

ビジネスフォンの内線通話機能は、部署間やフロア間の連絡を迅速に行える点が大きなメリットです。主装置を介して複数の電話機を接続し、内線番号を押すだけで、離れた場所にいるスタッフとも無料で通話が可能になります。
これにより、会議の招集や業務連絡がスムーズに進むだけでなく、ちょっとした確認事項にもすぐ対応でき、社内の意思疎通が向上します。また、近年ではスマートフォンを内線端末として活用できる機種も登場しており、外出先やテレワーク中でも社内と同様の連携が図れる点も魅力です。

通話料金の削減でコストを抑えることができる

ビジネスフォンを導入することで、通話料金を大幅に削減できます。特に、内線通話が無料で利用できる点は、通信コストを抑えるうえで大きなメリットです。例えば、同一オフィス内の部署間連絡を毎回外線で行っていた場合、通話料が月々かさんでしまいます。
しかし、ビジネスフォンでは主装置を介して社内の電話機が内線化され、無料で通話できるようになります。さらに、代表番号を複数の電話機で共有し、同時に着信対応できる仕組みにより、必要な回線契約数を最小限に抑えられるため、基本料金の削減にもつながります。
加えて、クラウドPBXを併用すれば、スマートフォンを内線端末として利用でき、外出先でも通話コストを抑えながら社内とスムーズに連絡をとることが可能です。

電話の取り次ぎがスムーズになり業務効率が向上する

ビジネスフォンを導入することで、電話の取り次ぎがスムーズになり、業務効率の向上も期待できます。専用電話機と主装置を連携させることで、外線の着信を保留しながらワンタッチで内線に転送でき、担当者への引き継ぎが可能です。
不在時でも代理の担当者が対応できるため、折り返し連絡の手間や顧客対応の遅れを防げます。さらに、通話中でも他の回線で別の着信に応答できる機能を活用すれば、機会損失を抑えながら、業務を並行して進めることができるでしょう。
こうした電話対応の効率化は、顧客満足度の向上にもつながります。特に中小企業では、少人数で複数の業務を担う場面が多く、ビジネスフォンの活用により取り次ぎ体制の最適化が図れることはメリットといえるでしょう。

複数の外線番号を1台の電話で使い分けられる

ビジネスフォンを導入すると、1台の電話機で複数の外線番号を使い分けることが可能になります。たとえば営業部・総務部・サポート窓口など、部署ごとに異なる番号を設定しておけば、それぞれに着信があった際に、電話機のディスプレイ表示や着信音で判別できるようになります。この機能により、どの業務に関する問い合わせかを即座に把握でき、担当部署がスムーズに対応できます。
また、1台の電話から発信する際に、使用する外線番号を選択することも可能です。これにより、取引先に応じた柔軟な対応が実現し、信頼性の高いコミュニケーションを築くことができます。

代表番号の共有で社外対応の品質が安定する

ビジネスフォンでは、1つの代表番号を複数の電話機で共有できるため、社外からの着信に誰でも対応できる体制を構築できます。たとえば受付・営業・サポートなどの各部署で代表番号を共有しておけば、担当者が不在でも他のスタッフが対応でき、折り返しや対応漏れのリスクを最小限に抑えられるでしょう。
その結果、企業としての電話応対品質が安定し、顧客からの信頼獲得にもつながります。

拠点間や在宅勤務でも会社番号で発着信が可能になる

ビジネスフォンやクラウドPBXを活用すれば、在宅勤務中や外出先でも会社の代表番号を使った発着信が可能になります。従来はオフィスにいなければ対応できなかった代表電話も、スマートフォンやPCを内線端末として設定することで、自宅や別拠点からでも応対できます。
この仕組みにより業務を行う場所を問わず、柔軟な働き方が可能になります。発信時には会社の番号が相手に表示されるため、取引先に対して一貫した連絡体制を維持でき、信頼性の確保にもつながるでしょう。
また、複数拠点間の通話は内線として扱われるため、通話料の削減にも有効です。

業務に必要な機能をカスタマイズして導入できる

ビジネスフォンは、自社の業務内容や規模に応じて必要な機能だけを選択できる、柔軟性の高い通信システムです。主装置には各種ユニットを組み合わせることで、外線や内線の数、通話録音、転送、自動応答などの機能を自在にカスタマイズできます。
たとえば営業部には外出先でも対応可能なスマートフォン連携機能を、受付にはドアホンとの連動機能を設けるなど、部署ごとに最適な構成を設計することが可能です。必要最低限の機能から導入し、事業の成長に合わせて段階的に拡張できるため、初期コストの抑制と将来的な投資効率の両立が期待できます。

ビジネスフォンを導入する際の注意点

ビジネスフォンは多機能で業務効率を高められる一方、導入にあたっては事前に確認すべき点も多くあります。初期費用や設置環境、将来の拡張性などを見落とすと、予期せぬコストや使い勝手の問題が発生するおそれがあります。ここでは、導入をスムーズに進めるために押さえておきたい注意点を解説します。

導入前に初期費用と維持費を把握する

ビジネスフォンを導入する際は、初期費用と維持費を事前に把握しておくことが重要です。ビジネスフォンは家庭用電話機に比べて高機能であるため、主装置や専用電話機、設置工事などにある程度まとまった初期コストがかかります。
企業の規模によっては、数十万円以上の費用が発生することもあり、機器構成や工事内容に応じて金額は大きく変動します。また、導入後も回線使用料や保守費用、機器のリース料など、月々の維持費が継続的に発生する点にも注意が必要です。
特にクラウドPBXを利用する場合は、初期費用を抑えられる反面、月額料金が発生するため、導入形態ごとのトータルコストを比較しておくことが大切です。あらかじめ詳細な見積もりを取得し、予算内に収まるかを確認したうえで、自社に適した導入方法を検討しましょう。

設置環境に応じた工事の必要性を事前に確認する

ビジネスフォンを導入する際はオフィスの設置環境に応じた工事の有無やその内容を、事前に確認しておくことが重要です。たとえば主装置や配線ルートの設置にあたっては壁や天井を通す配線工事が必要になるケースがあり、レイアウトや建物の構造によっては大掛かりな工事が発生することもあります。
さらに、LAN配線や電源の確保といったビジネスフォン以外の周辺機器との接続環境についても、あわせて確認しておく必要があります。これらの確認を怠ると設置当日に工事のやり直しが発生したり、想定外の追加費用がかかったりする可能性があるため注意が必要です。
スムーズな導入とコストの最適化を実現するためにも、導入前に専門業者による現地調査を受け、設置条件や必要な工事の範囲を正確に把握しておくことが大切です。

将来の台数増加や機能追加に対応できる機種を選ぶ

ビジネスフォンを導入する際は、将来の業務拡大や人員増加に備え、拡張性の高い機種を選定することが重要です。主装置の性能や空きスロットの数によって、接続可能な電話機の台数や追加できる機能が異なるため、初期導入時から余裕を持った設計をしておきましょう。
たとえば将来的にスマートフォン連携や通話録音機能を追加したい場合には、対応ユニットを後から装着できるモデルを選んでおくと安心です。こうした機種であれば、無駄なシステム再構築や二重の費用負担を避けることができます。
さらに、台数の追加や機能の変更が生じた際にも新機種への買い替えが不要なため、長期的なコスト削減にも貢献するでしょう。現時点の要件に加えて、今後数年の業務形態も見据えたうえで、柔軟に拡張できる機種を選ぶことが大切です。

誰でも使える操作性の高いモデルを選定する

ビジネスフォンを導入する際は操作性に優れたモデルを選ぶことも重要です。総務担当者だけでなく、営業、サポート、受付などさまざまな職種の社員が電話を使用するため誰でも直感的に扱える設計が求められます。
操作が複雑で専門知識を要する機種を導入してしまうと日常業務に支障が出るだけでなく、全体の業務効率が低下する恐れがあります。さらに、操作ミスによる応答の遅れや誤転送が発生すれば、顧客対応の品質にも悪影響を及ぼす可能性があります。
特に、初めてビジネスフォンを使用する従業員にとっては、わかりやすいインターフェースや簡潔な操作マニュアルの有無が、重要な選定基準となります。導入前には実機のデモや操作性の確認を行い、自社にとって使いやすいモデルを選ぶことが大切です。

長期的にサポートが受けられるメーカー品を選ぶ

ビジネスフォンを導入する際は、長期的な視点でサポート体制が整ったメーカー品を選ぶことが大切です。信頼性の高い国内メーカーの製品であれば、導入後にトラブルが発生した際も迅速な対応が期待でき、業務の中断を最小限に抑えることができます。
修理や部品交換が必要になった場合でも安定した供給が見込めるため、長期運用にも適しています。また、拡張や機能追加を行う際には同一メーカー内で互換性が確保されているケースが多く、柔軟なシステム構築が可能です。
特に中古機の導入を検討する場合は、サポートの有無や保証内容を事前に確認しておくと安心です。価格面だけで判断せず、安定した運用を支えるサポート体制の充実度にも注目して選定することが重要です。

ビジネスフォンの導入費用と維持コスト

ビジネスフォンの導入には機器費用や設置工事費、必要に応じたオプション機能の追加費用など、一定の初期コストが発生します。さらに、通信費や保守費用といった毎月のランニングコストも見込む必要があります。ここでは、導入前に押さえておきたい主な費用項目と月額維持コストの内訳について解説します。

ビジネスフォンの導入時にかかる主なコスト

ビジネスフォンを導入する際は主に機器代、工事費、オプション機能の追加費用といった初期費用が発生します。新品を選ぶ場合、専用電話機は1台あたり1.5万〜5万円、主装置は20万〜100万円程度が相場です。
中古品を導入すれば、これらの費用はおおよそ1/3〜1/5程度まで抑えられることもあります。設置工事費はオフィスの配線状況によって異なりますが、1台あたり1万〜2万円が目安です。
さらに、通話録音や自動応答などのオプション機能を追加する場合には、数万円〜数十万円の追加費用がかかる点にも注意が必要です。
これらの初期費用に加えて、導入後は通信費や保守費といった月額の維持コストも発生します。トータルの費用感を見据えたうえで、導入を検討することが大切です。

ビジネスフォンの月額維持コストの内訳

ビジネスフォンの月額維持コストは主に通信費・保守費・リース料金で構成されます。通信費は回線の種類によって異なり、アナログやISDN回線では1回線あたり数千円、クラウドPBXでは1ユーザーあたり月1,000〜3,000円程度が目安です。
保守費用には故障対応や定期点検が含まれ、月額3,000〜6,000円程度が一般的です。リース契約を利用する場合は、月額3,500〜12,000円程度がかかることもあります。
これらの費用は機種や導入方法によって変動するため、事前に内訳を明確にし、予算とのバランスを慎重に確認することが大切です。

ビジネスフォン導入の流れ

ビジネスフォンの導入には、ヒアリングから機器選定、設置、運用開始までいくつかの工程があります。初めての導入でもスムーズに進めるためには、各ステップを理解しておくことが重要です。ここでは、導入までの一連の流れをわかりやすく解説します。

1.導入目的や通話環境の要件をヒアリングする

ビジネスフォン導入の第一ステップは、業者によるヒアリングです。企業の業種や業務内容、従業員数、電話の使用頻度といった情報をもとに、最適な機種や必要な機能の方向性が検討されます。
あわせて、現在の通信環境や通話上の課題、将来的な拠点拡大やテレワーク対応の有無なども確認されるため、要望や懸念事項は事前に整理しておくとスムーズです。
ヒアリング結果を踏まえ、導入プランや見積もりが提案される流れとなるため、この工程は導入成功のカギを握る重要な段階といえます。不明点があれば遠慮せず相談し、納得のいく導入を目指しましょう。

2.利用規模や機能に応じた機器と回線を選定する

ヒアリング内容をもとに、次に行うのは自社に適した機器や回線の選定です。従業員数や業務形態、通話の頻度に応じて、必要な機能と構成を明確にします。
たとえば10人未満の小規模オフィスであれば、初期費用を抑えられるクラウドPBXが適しているケースが多いです。一方で、安定性を重視したい中規模から大規模のオフィスでは、主装置を設置するタイプのビジネスフォンが選ばれる傾向にあります。
また、スマートフォンとの連携や通話録音、IVR(自動音声応答)などの機能についても業務内容に合わせて検討するとよいでしょう。さらに、アナログ・ISDN・IPといった外線回線の種類や本数も通信の安定性に関わるため、運用コストとのバランスを見ながら選定することが大切です。

3.見積もりを確認し、契約手続きを行う

見積もり内容の確認が済んだら、契約や発注の手続きへ進みます。この段階では提示された機種やプランが業務に適しているかどうか、料金体系に不明点がないかを慎重に確認しましょう。
あわせて、回線契約や電話番号の引き継ぎが必要な場合は、通信事業者への手続きも同時に進める必要があります。特にクラウドPBXを選ぶ際は、インターネット回線との相性やセキュリティ対策についての確認も欠かせません。
契約書類には支払い条件や保守サービスの内容が記載されているため、不明点があれば事前に相談しておくと安心です。また、業務に支障が出ないよう、導入スケジュールや設置日についてもこのタイミングで調整しておきましょう。

4.現地で設置工事を実施する

契約手続きが完了すると、選ばれたビジネスフォンの機器一式が業者から発送され、指定の日時に現地で設置工事が行われます。工事では、オフィスのレイアウトや既存の通信環境を考慮しながら、主装置や専用電話機、必要な配線の施工が進められます。
あわせて、LAN配線や電源の確保といった付帯作業も並行して実施されます。工事の所要時間はオフィスの規模や設置する台数によって異なりますが、一般的には半日から1日程度です。
なお、工事の立ち会いが必要になることもあるため、事前に業者とスケジュールを調整しておくと安心です。

5.主装置や電話機の設定を行い、動作確認をする

設置工事が完了した後は、主装置や電話機の初期設定を行い、システム全体の動作確認を進めます。
主装置には外線・内線の情報や内線番号の割り振り、着信グループの設定、通話転送や録音機能の有無など、細かな項目を登録します。専用電話機では、発信ボタンの割り当てや短縮ダイヤルの登録を行い、業務に合わせたカスタマイズを施します。br> 設定が完了したら、実際に内線・外線を使って通話の送受信が正しく行えるか、保留や転送といった機能が正常に動作するかを確認しましょう。設定ミスや不具合があると業務に支障が出るため、通常は専門業者が立ち会い、丁寧にチェックを行います。

6.利用開始後の操作説明とサポート体制を整える

ビジネスフォンの設置・設定が完了した後は、スムーズな運用に向けて、操作方法の説明とサポート体制の整備が欠かせません。
導入時には内線・転送・保留などの基本操作や各種機能の使い方について、スタッフ全員にわかりやすくレクチャーする機会を設けましょう。あわせて、マニュアルや操作ガイドを事前に共有しておくと、新人教育やトラブル対応にも役立ちます。
また、導入業者によるアフターサポートの内容を確認し、万が一のトラブル時にも迅速に連絡・対応できる体制を整えておくことが重要です。
特に、操作ミスによる応対の遅れは、顧客の信頼を損なうリスクにつながります。だからこそ、早期の習熟と手厚いサポートが、安心したビジネスフォン運用のカギといえるでしょう。

通信環境を整えたい企業こそビジネスフォン導入を前向きに検討しよう

ビジネスフォンは、内線通話や保留・転送、スマートフォン連携などの機能により、社内外の通信を効率化し、業務の生産性を高めてくれるツールです。特に中小企業や新規開業を控えた事業者にとって、限られた人員でも高品質な電話応対を実現できる点は大きなメリットといえます。
導入には費用や設置工事が伴いますが、将来的な拡張やカスタマイズにも対応できるため、長期的な投資価値は高いといえるでしょう。通信環境の整備を通じて業務効率と顧客満足度を同時に高めたい企業こそ、ビジネスフォンの導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。